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錦織圭から消えた脆さと淡白さ。
「負けにくい選手」の戦術選択力。 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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posted2016/05/28 10:50

錦織圭から消えた脆さと淡白さ。「負けにくい選手」の戦術選択力。<Number Web> photograph by AFLO

俯瞰で見ているとわかりづらいが、テニスにおいてバウンドの高さが選手に与える影響は極めて大きい。

かつての淡白さ、もろさはみじんもない。

 この3月にはマイアミの準々決勝で、ガエル・モンフィスにファイナルセットのタイブレークで競り勝った。5月のマドリードでは、ファビオ・フォニーニ戦で負け試合をひっくり返し、準決勝ではニック・キリオスとの混戦も制している。昨シーズン前半戦までの勝負強さが戻っている。少なくとも、昨季の終盤に見せた淡泊さ、脆さはみじんもない。

 体力、精神力を大きく消費したことは間違いないが、大会の山場に向けて、良いリハーサルができたと思えばいい。

 4回戦では地元フランスのリシャール・ガスケと対戦する。初対戦から6連敗したが、今季、全仏前哨戦のマドリードとローマで2連勝した。「苦手意識はなくなってきた。すべきことは分かっているので、それがコートできるかどうか」。地元びいきの「クレイジーな応援」(錦織)も予想される。

 昨年は準々決勝で地元のジョーウィルフリード・ツォンガに敗れているだけに、敵はガスケ一人ではないことを覚悟しなければならない。

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