淺間の盗塁は、消えるように全てを盗む。

「1番センター・陽岱鋼」は大看板の不動のリードオフマン。今が伸び盛りの谷口雄也も外野の一角を占めつつあり、今は残るもう1つの外野ポジションを、昨季パ・リーグ打撃ベストテン3位、横浜高の3年先輩でやはり野球センスの塊のような近藤健介と共に争うかたちになっている。

　いずれがアヤメ、かきつばた。

　どれも魅力的な選手たちばかりではあるが、体調さえパンと万全になったなら、ポジションを1つ託された時の淺間大基の仕事ぶりを見たい。

ADVERTISEMENT

　1年目の昨季、一軍に初めて上がった試合ですぐに盗塁をきめて、次の日の試合でもまた、ふんわりリードしたと思ったら、スッと消えるように音もなくスタートをきって、あっさり二塁を陥れた“走る力”もある。

　びっくりするようなスピード感じゃない。今そこにいたのが、いつの間にかいなくなっている。そんな印象の走りは、まさにモーションを“盗み”、次塁をも“盗む”。盗塁とは、そういったひそやかな行為でなくてはならない。

前で守れて、後ろにも強い守備。

　前で守れて、後ろにも強い。そういうディフェンス。

　投手の心を折るのは、会心のホームランじゃない。バットを折ってこっちが勝ったはずなのに、外野手の前にポトリと落ちるポテンヒット。前で守れる外野手はそんな悲劇を未然に防ぎ、かりに落とされても、「あそこで守ってるんだから……」と救いを与えてもくれる。

　そして何より、突き抜けたセンスを持った者は、より高いレベルに置いた時ほど大きな力を発揮する。

　チームの先輩・斎藤佑樹が見事に裏切ってくれつつある私の中の“黄金則”を、キミこそが、彼に代わって証明してくれたまえ！

【次ページ】　個性派集団の日本ハムに、天才がまた1人。