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前人未到の記録まであとGPで9勝。
ロッシが20年も勝ち続けられる理由。
posted2016/05/07 09:00
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
4月24日にヘレスで行われた第4戦スペインGPで、ロッシが今季初優勝を達成した。37歳68日での優勝は、最高峰クラスでは歴代9番目の記録であり、現役ライダーでは、勿論、最年長記録達成となった。
最近では、'06年のバレンシアGPでトロイ・ベイリスが37歳213日という歴代8位の記録で優勝している。それ以上の最年長優勝記録となると、そのほとんどが1950年代から'60年代にかけての記録であり、レース数が増え、競技人口が増えている現代では、ただただ、素晴らしいの一言である。
また、この記録は、ロッシが更新を続けている初優勝からもっとも長く優勝を続けているライダーの記録を19年250日へと伸ばした。つまり、20年にわたりグランプリのトップライダーのひとりとして活躍してきたことを物語っている。
印象深い、17歳の初優勝。
筆者は1990年からグランプリを転戦している。ロッシの初優勝は、1996年のチェコGP。まだあどけないというよりもかわいらしい17歳のロッシの初優勝は印象深い。なぜなら、そのときから、イタリアのマスコミに大きく取り上げられていたからだ。父親のグラツィアーノが250ccクラス(現Moto2クラス)で3勝を挙げ、500cc(現MotoGPクラス)では、スズキのワークスライダーとして活躍したライダーだったのだから、注目されて当然だった。
この初優勝をスタートにロッシは一気にブレイクしていく。'97年に125cc、'99年に250ccチャンピオン獲得(ともにアプリリア)。2001年にはホンダで500ccチャンピオンを獲得する。さらに、500ccからMotoGPクラスに変わった'02年から'05年('02年、'03年=ホンダ、'04年、'05年=ヤマハ)まで、500ccを含めて5年連続で最高峰クラスのチャンピオンを獲得。さらに、'08年、'09年(ともにヤマハ)とタイトル獲得数を7回(通算9回)と伸ばした。