フットボール“新語録”BACK NUMBER
サポーターの“濃さ”でJFLに完敗?
ロック総統が語るJリーグの不足成分。
posted2016/05/09 10:30
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Kinshicho Football Giyugun
「僕らの業界では、ユナイテッドといえば鹿児島、シティといえば松江。どこかの国の赤い悪魔のことではありません」
ロック総統(ホンダロックSCサポーター)
一見するとわからない価値を、魅力的に伝える――。
きっとコメディアンの才能はそこにあるのだろう。元芸人の革命的サポーターと、J3のクラブを応援する現役芸人に会うと、あらためて日本サッカーの底力に気付かされた。
今回2人と話せることになったのは、彼らが自主制作しているポッドキャスト番組『革命!錦糸町フットボール義勇軍』の出演依頼を受けたからだ。何か秘密の会議をのぞくようで、逆にスポーツライターとしては絶好の取材機会。体験記を書かない手はない。
元電撃ネットワークと、R-1準優勝者。
2人の経歴は個性的だ。
まずは、かつて電撃ネットワークの一員だった元芸人で、鹿島アントラーズのサポーターを経て独自の道へ進んだロック総統。JFLのホンダロックSC(宮崎県の企業チーム)を応援しており、ガンダムのシャアを連想させる赤いヘルメットがトレードマークだ。約4年前に本連載で活動を取り上げたところ、大きな反響があった。
そしてもうひとりは、『R-1ぐらんぷり』で準優勝経験があり、地元・栃木SCのイベント司会、日光アイスバックスや南葛SCのスタジアムDJを務める井上マーだ。『義勇軍』の収録では、ライト曹長のコードネームで活動している。
都内某所で待ち合わせると、ロック総統がいきなりディープな話を切り出した。
「昨日、JFLのソニー仙台とホンダロックの試合に行ってね。会場は宮城スタジアム。まさか2002年W杯で日本がトルコに敗れた場所で、4部の試合が行われるとはね。観客は416人でほぼ貸切。普段リプレイが大画面に映ることなんてほぼないから、それだけで大騒ぎでしたよ」