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CBにオーバーエイジ枠は使わせない!
岩波、植田、奈良の三つ巴の行方は。 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byAFLO

posted2016/04/17 11:00

CBにオーバーエイジ枠は使わせない!岩波、植田、奈良の三つ巴の行方は。<Number Web> photograph by AFLO

岩波と植田、そしてボランチの遠藤航でつくるトライアングルはU-23の生命線だ。

2015年に失ったポジションを、今年奪還した植田。

「不甲斐ないし、自分に腹が立っている」

 植田が胸の内をそう吐露したのは、最終予選が開幕するひと月前のことだった。

 プロ2年目の'14年に鹿島でポジションを確保した植田だったが、'15シーズン途中にトニーニョ・セレーゾ監督が解任され、石井正忠監督が就任するとポジションを失い、奪い返せないまま、シーズンを終えていた。

「成長できなければリオには行けない。成長しなきゃ、っていう焦りが今は少しあるのかな、というのが正直なところです」

 迎えたアジア最終予選。北朝鮮との初戦でコーナーキックから先制ゴールを叩き込むと、北朝鮮のパワープレーにも屈せず、マンオブザマッチといえる活躍を見せる。以降全6試合中5試合に出場し、中東の屈強なFWとのバトルでも引けを取らなかった。

 逞しくなって帰国した植田の変化を、石井監督が見逃すはずがない。「メンタルが変わった」と評価し、今季は開幕からスタメンで起用している。

 これまでは武器である高さやスピードといった身体能力に頼り過ぎるところがあった植田も、自身の成長を感じとっている。

「ああやって、負けたら終わりという試合を何試合もやって、メンタルが鍛えられたと僕自身も感じているし、緊迫した経験を積んだからこそ落ち着きが身についてきた。試合勘もそうですし、裏も見えるようにもなった。そうしたものは試合に出て、経験を積まなければ得られないものだったと思います」

川崎に完全移籍した奈良の「それなりの覚悟」。

 最終予選で岩波と植田の間に割って入った奈良は今季、覚悟をもって新シーズンを迎えた。FC東京から川崎へ、所属クラブを変えたのだ。

 コンサドーレ札幌からレンタルで加入していたFC東京では森重真人、丸山祐市という日本代表に名を連ねるふたりの壁を超えられなかったが、新天地でもポジションが約束されていたわけではない。

「ポジションを掴める保証があったわけではないので、完全移籍でチームを変えるというのは、それなりの覚悟があった。常にギリギリのところで戦っている感覚があるけれど、自分の成長のためにはいいことだと思う」

【次ページ】 岩波はビルドアップ、植田は強さ、では奈良は。

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