サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「鳥肌を超えて、血が逆流していく」
ハーフナーが代表に抱く興奮と欲求。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byAsami Enomoto
posted2016/03/28 18:00
背が高い、というのは既に圧倒的な特殊能力である。マイクの成長は、そのまま日本代表の力になる。
代表デビュー時の「血が逆流していく感じ」。
日本代表への思い。
1キャップ目を刻んだのが2011年9月のブラジルW杯アジア地区3次予選の北朝鮮戦。後半25分にピッチに入ったときの興奮を、後日こう話してくれたことがある。
「交代で入る際に、自分の名前がアナウンスされるじゃないですか。スタンドから“ウォーッ”という声が聞こえてきて、鳥肌を超えて、なんか自分の血が逆流していく感じがありました。アドレナリンがこう、全身に走る感覚というか。ミスでもして負けたらどうしようとか、そんなマイナスの考えなんて一切なかった」
あの感覚は、今も体内に宿る。日の丸をつけ、ゴールを奪った興奮はまたそれ以上のものになる。
ザック、アギーレ、ハリル。3度目の正直というよりも、本人はラストチャンスだと捉えている。29日のシリア戦、必ずやどこかで自分の名前が呼ばれることを彼は信じている。
果たすべき己の役割はただ1つ、ゴールのみ。
代表で4得点を挙げているマイクだが、青の代表カラーに染まった埼玉スタジアムでゴールの興奮を味わったことがない。
出戻りのオランダで進化を証明した次は、出戻りの代表で成果を示す番である。