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4カ月ぶりのゴールがクラブ100点目!
トーレスはアトレティコに残れるか。
posted2016/02/18 10:30
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
AFLO
待望のゴールは、最後の最後に訪れた。
左サイドを抜け出したルチアーノ・ビエットが低いクロスをゴール前に送る。マーカーの背後に回り込んだ背番号9が右足でボールを捉えた直後、ビセンテ・カルデロンのスタンドはこの日一番の歓喜に包まれた。
「アトレティコ・マドリーの歴史に残る新たな一日だ! フェルナンド・トーレスがロヒブランコ(赤白)のカンテラーノとして100ゴールに到達した! 決めたのは、背番号9、フェルナンドー……」
アナウンスの煽りに続き、スタジアム中に「トーレス!!」の声が響き渡る。
「フェルナンド・トーレス、ラララララーラー、フェルナンド・トーレス、ラララララーラー、フェルナンド・トーレス、ララーラーララーラー」
試合終了後も延々と続く応援歌を聞きながら、20年以上も前に自身のアトレティコ加入を後押ししてくれたマヌエル・ブリニャス氏にユニフォームをプレゼントした後、ピッチレポーターのインタビューに応じたトーレスは次のように喜びを口にしていた。
「このゴールはご褒美のようなもの。何年も前にキャリアをスタートしたクラブで今もプレーできるというだけで有り難いことだからね。100ゴールに到達し、クラブの偉大なるストライカーたちの仲間入りができたことを誇りに思うよ」
4カ月半ノーゴールで、契約更新も進まず。
2月6日、ホームにエイバルを迎えた一戦で決めたアトレティコでの通算100ゴール目は、トーレスの今後を一変させる重要なゴールとなる可能性がある。
昨年1月の復帰時には4万5000人超のファンをプレゼンテーションに集め、その後もレアル・マドリーとのダービーで復帰後初ゴールを決めるなど度々話題をさらった。
だが今季はジャクソン・マルティネス、ルチアーノ・ビエット、アンヘル・コレーアらの加入によって前線のポジション争いが激化する中、トーレスは徐々に存在感を失っていく。
昨年9月19日のエイバル戦で決めた通算99ゴール目を最後に、その後は4カ月半も不発。年が明けてもクラブが今季終了時に切れる契約の更新に動く様子はなく、シメオネ監督も「全てパフォーマンス次第」と明言を避けていた。