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4カ月ぶりのゴールがクラブ100点目!
トーレスはアトレティコに残れるか。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byAFLO
posted2016/02/18 10:30
リーグ二桁得点は2009-2010以来ないが、裏への動き出し、守備の貢献などは常に高く評価され続けている。
FWに新加入はない状態で移籍市場が終了し……。
そんな矢先、トーレスの立場が一変するきっかけが生じる。ジャクソンの中国移籍である。
守備面のハードワークを強いられるアトレティコのプレースタイルに適応できず、この半年で22試合出場3ゴールにとどまったコロンビア人FWに対してシメオネは早々に見切りをつけた。そして冬の移籍市場を通してクラブにジエゴ・コスタの買い戻しを要求し続けたのだが、チェルシーは4500万ユーロのオファーにも首を縦には振らなかった。
なおイングランドの一部メディアは、アトレティコがラダメル・ファルカオの獲得でチェルシーと合意しながら、メディカルチェックの結果を受けて契約を取り消したという情報も報じているが、こちらの真偽は定かではない。
結局、全て元のまま移籍市場は終了。大物代理人のジョルジュ・メンデスが2月26日まで移籍市場が開かれている中国から巨額オファーを持ち込んだのは、その翌日のことだった。
トーレスはなんとも「持っている男」である。
シメオネが望む「9番」の獲得は叶わず、しかも思わぬ形でジャクソンの売却が実現した。平行して足首のケガから回復したトーレスは約1カ月ぶりにベンチ入りを果たし、途中出場から4カ月半もお預けとなっていた通算100ゴール目を決め、一躍主役の座に返り咲く。
何とも「持っている男」トーレスらしい復活劇である。
「今の望みはできる限り多くのゴールを決め、多くの試合に出ること。僕は次の試合もアトレティコでプレーする。シーズンの最後にはアトレティコでタイトル獲得を祝う。それより先のことは考えるべきじゃない」
エイバル戦後のミックスゾーン。トーレスはそう言って来季の去就についての言及を避けた。