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今年のトリプルスリーは広島から?
内川に師事した鈴木誠也が覚醒宣言。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/02/13 10:50
2012年ドラフト会議で二松学舍大付から2位で広島入りした鈴木。長打と足を両立する現代的な外野手だ。
東出が感じていたレギュラー定着の予感。
悔しさを胸にバットを振ってきた。プロ入り後初めてのオフとなった'13年12月、広島市内のジムに通って大野練習場で1人バットを振り込んだ。トレーニングで両足の筋肉が張っても、バットを振った。思うような打撃ができない時はいら立ちを言葉にしながらも、バットを握ることをやめなかった。
当時、鈴木にアドバイスをした東出輝裕はこう話していた。
「あいつはすぐレギュラーを掴むかも。練習をやる体力があるし、適応能力が高い。昨日アドバイスしたことが出来ている」
高い能力に強い体、さらに適応能力があれば、急成長もうなずける。手応えを得た今春キャンプも、打撃に対する探究心は衰えない。
別れ際にかけられた、強気の覚醒宣言。
「内川さんからは本当にたくさんのことを学びました。でもそれが絶対ではない。(広島打撃コーチの)石井さんや東出さん、迎さんから言われていることも吸収していければと思っています」
内川に近づきたいわけではなく、自分が描く理想の打撃に内川が近いということ。まだ完成形が何なのか、自分でも分かっていないだろう。答えを探すために、バットを振り続けているようなものだ。
1次キャンプ第2クールで日南を後にする記者に、鈴木は言った。「沖縄で次に会うまでに覚醒しておきますよ」。自信に満ちあふれた力強い言葉だった。進化を続ける21歳が、今年の広島打線を変える予感がした。