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山本昌邦が語るリオ五輪とA代表。
「U-23はドルトムントに似ている」 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/02/12 11:00

山本昌邦が語るリオ五輪とA代表。「U-23はドルトムントに似ている」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

「大会前の評価が低いほど結果がいい」という法則が、リオ五輪本大会では逆向きに働くことになる。手倉森ジャパンはそれを打ち破れるか。

選手選考の基準は「この選手がA代表にいけるか」。

 原川の力も大きかったと思います。イラク戦の決勝ゴールは、そのシュート以前から前に出てきていた。自分で決めようという余力があったし、そういう意識で決めようとチャレンジしていたので、最後は決めることができた。これは必然のゴールです。

 韓国戦も原川が出てきて流れが変わった。原川はピッチに入ると、まず前にボールを5~10m程度運ぶんです。前に運ばれると中島翔哉についているDFがどうしても絞らざるおえなくなる。そこで中島にボールを預けると前ほど圧力がないので、前を向いて仕事ができるようになる。そうして消えていた中島が生き返ったわけです。そこから全部が引っ繰り返って日本は前にいけるようになった。そういう全体のイメージがわかってプレーできるところが原川の良さだと思います。

――これからは本大会に向けてチームをより強化していくことになる。リオ五輪本大会を戦い、メダルを獲得するためにはどういう選考基準で18名の選手は選ばれるのだろうか。また、攻守において、チームはどういう部分でのレベルアップが求められるのだろうか。

 私がアテネ五輪の時、18名のメンバーを選んだ基準は、その選手がA代表で活躍できるようになるか、ということでした。精神的にも肉体的にも世界で戦える選手を、自分がこれまで五輪やW杯を経験して得た世界基準に照らし合わせた中で選考したのです。

 リオ五輪の本大会の選考基準もおそらく同じでしょうし、加えて一人一人のアベレージが高いのはもちろん、90分でなく120分戦え る選手であることが必要です。決勝トーナメントでは延長戦が増えますし、18名しかいないので最終予選のような完全なターンオーバー制はできない。このチームのベースは豊富な運動量にあるので、18名全員が120分走れることが条件になる。

今のチームの戦い方はドルトムントに似ている。

 攻撃は、攻撃のバリエーションを増やすことが必要です。DFの背後を狙ったり、カウンター攻撃は計算できる。そこに何をプラスしていくのか。今のチームの戦い方はドルトムントに似ている感じがします。早く奪って早く攻撃するところで、変化を生じる選手が入るとおもしろい。たとえば、早く攻める中で香川真司のような選手が入ってパスを出したり、攻撃に絡んでいく。攻撃のバリエーションを増やすには、香川タイプの選手を入れておくのもひとつの手でしょう。

 守備に関しては、植田、岩波、遠藤の3人が軸になっていけば、それほど問題はないでしょう。ただ、セットプレーで守備になった場合、両サイドバックに高さがないので、ストーンとしてニアを任せる高さのある選手が必要になる。それが今回のように鈴木武蔵やオナイウ阿道のようなFWになるのか、それとも三竿健斗のような高さのあるボランチを起用するのか。そこはしっかりと考えないといけないところでしょう。

【次ページ】 五輪は育成世代、A代表に繋がらないと意味がない。

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