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武藤嘉紀が負傷前に語っていたこと。
「僕は今、迷っている最中なんです」 

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photograph byAtsushi Kondo

posted2016/02/10 11:40

武藤嘉紀が負傷前に語っていたこと。「僕は今、迷っている最中なんです」<Number Web> photograph by Atsushi Kondo

リーグ前半に7得点を挙げた武藤嘉紀。マインツのチームにも街にも馴染みつつある様子だった。

「もっと、マインツで飛び抜けた存在にならないと」

「本当に、結果がすべての世界なんだなと。たぶんマインツの試合や僕のプレーを全部追いかけていたわけではないだろうし。それよりも残した数字の方を見ていたのだと思う。どこまでの話かわからなかったけど、正直これが自分の自信につながったわけでもない。もっと、マインツで飛び抜けた存在にならないといけない」

 強豪チームからの誘いにも浮かれない。焦って先へ進もうとするのではなく、今目の前にあるものだけに向き合おうとするのは、自分の性格ゆえだという。

「自分に自信があって、自分をしっかり評価できて、自分のいい所だけを見て自信満々な人がすごい羨ましい。自分はなにかができなかったりすると、じゃあどうすればいいんだってまた悩んで。こつこつやっていかないと上手く成長できないから」

「満足なんてまったく程遠い」

 こつこつと努力を続ける中で、屈強な相手が多いドイツだからこそ筋力トレーニングはもちろん、ピッチで対峙したときにどんなプレーをするのがいいのか頭脳をフルに使っていかなければならないと言う。

「最近練習で取り組んでいるのは、ボールを受ける前にあえて一度相手にドーンとぶつかって、距離を作ること。前を向いたり反転したりするプレースペースを自分で空けないと、こっちのDFは長い足ですぐに突いてくる。1m、いや数十cmでもいいから相手から離れて受けたい。裏に抜けると見せかけて、今話したようなプレーをする。またはその逆もある。

 たぶん人から見たら、僕のプレーってあまり工夫しているようには見られていないのだと思う。ゴリゴリ豪快に行くみたいな印象じゃないかな。でもこういう工夫をしていかないと、絶対にこっちでは生きていけない」

 身体だけでなく、頭脳を駆使してドイツの地で逞しく生きる武藤の姿がそこにはあった。前半戦で残した数字がその成果を物語っている。

 1年目としては上出来な成績ではないだろうか?

 しかし、彼は浮ついた素振りはまったく見せずこう言った。

「満足なんてまったく程遠い。僕は今、迷っている最中なんです」

 マインツの若き点取り屋が現在直面している悩み、ジレンマとは。また、武藤が「ドイツで見せつけたい!」と感じているプレーとはどのようなものなのか、彼の熱い胸の内が明らかに。インタビューの詳細は、Number895号 武藤嘉紀「ファウルでしか止められない選手になりたい」(文・西川結城)をお楽しみください。
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