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ホンダからBMW、そしてスズキ移籍。
清成龍一の不器用なバイクの選び方。

posted2016/01/19 10:30

 
ホンダからBMW、そしてスズキ移籍。清成龍一の不器用なバイクの選び方。<Number Web> photograph by Satoshi Endo

ライダーをめぐる情勢の厳しさを知るからこそ、清成は若手のために率先して行動している。

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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Satoshi Endo

 英国スーパーバイク選手権(BSB)で10年目のシーズンを迎える清成龍一が、BMWからスズキに移籍して新たなチャレンジに挑むことになった。

 清成は埼玉県川越市出身で、1982年9月23日生まれの33歳。プロライダー育成を目指す「鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)」を卒業後、ホンダ系の名門チーム「チーム高武RSC」から全日本ロードにデビュー。2002年、20歳で全日本ロードST600チャンピオンを獲得した。

 翌'03年、250ccクラスで世界チャンピオンになり、MotoGPクラスでも日本人初のタイトル獲得が期待された大ちゃんこと加藤大治郎選手がレース中の事故で他界。その代役として「ホンダ・グレッシーニ」からシーズン途中からグランプリデビューを果たした。

MotoGPで積んだ貴重な経験。

 世界最高峰クラスの頂点を狙う逸材だった大ちゃんの代役など、そうはいない。そこでチームは志半ばにして逝った大ちゃんの夢を引き継ぐ若手として、大ちゃんの所属していた「チーム高武」の後輩を抜擢することにした。MotoGPマシンに乗るのも初めてなら世界のサーキットを走るのも初めてという20歳のルーキーにとっては厳しいシーズンとなったが、それでも11位を最高位に着実にポイントを獲得して貴重な経験を積んだ。

 経験不足も大きな試練を乗り越えた精神的な強さを評価されて、翌'04年からはホンダの契約ライダーとなり、BSBへの参戦が決まる。'06年、'07年にチャンピオンを獲得。'08年、'09年にスーパーバイク世界選手権(WSB)に参戦して3勝。'10年にはBSBに復帰して3回目のタイトルを獲得した。だがその後は思うような成績を残せずシートを失った。

【次ページ】 ホンダ生え抜きライダーの大きな決断。

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#加藤大治郎
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