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ホンダからBMW、そしてスズキ移籍。
清成龍一の不器用なバイクの選び方。
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2016/01/19 10:30
ライダーをめぐる情勢の厳しさを知るからこそ、清成は若手のために率先して行動している。
ホンダを去った真意。
ホンダの生え抜きライダーとして大きな貢献を果たしてきた清成だけに、将来の生活を考えればホンダの清成龍一でいた方が安泰だったに違いない。だがそうなるとホンダからはMotoGPマシンのテストライダーをオファーされることになる。しかし、レースをやりたい、チャンピオンになりたいという思いが移籍を決断させた。
今年の目標はBSBで4回目のタイトル獲得と8耐で5回目の優勝。どちらも達成できれば、史上最多タイ記録となる。
そんな清成に現在の心境を聞いた。すると、彼はこう答えてくれた。
「失った自信を取り戻したい」
「まだまだ勝ちたいし、チャンピオンも獲りたい。去年は初めて、バイクのせいでだめなシーズンだった。いままでバイクのせいにしたことはなかったし、したくもなかった。すごく悔しいけれど、プライベートチームの限界を感じた。スズキはいいスタッフも揃っているし、去年の8耐で乗ったスズキのバイクもすごく乗りやすかった。これだけでもう言い訳はない。とにかく、いまは早く勝ちたい。去年失った自信を取り戻したい。それだけです」
2月中旬にはBSBの舞台となるイギリスに渡って初テストに臨む。3月には暖かいスペインに移り本格的なテストを行なう。どん底を見た清成にとって、不器用な生き方の総決算となるシーズンがはじまる。