「あのまま日本にいたら何の努力もしなかった」

　元々、田渡がアメリカに出てきたかったのは、日本のレベルでは物足りなかったからだった。日本の大学に進んでも、自分が成長できるとは思えず、さらに高いレベルを求めて、日本を飛び出した。

「あのまま日本にいたら、何の努力もしなかったと思うんですけれど、こっちでは練習から勝負しなくてはいけないから」と田渡は言う。

　今は、昨季のエース・ポイントガードが、プロとしての契約待ちの期間、毎日練習相手になってくれているのが楽しく、刺激になると言う。

「彼と毎日マッチアップすることで成長できるし、試合で対戦相手のガードがうまくても気にしないでできる」

日本にいれば進学先も選び放題で苦労も無かったが……。

　一方で渡邊は、日本にいた時こそ物足りないと思ったことはなかったと言う。それでも、実際にアメリカに出てきてからは、アメリカでの高いレベルの競争に魅了されたそうだ。

　うまくいくことばかりではないが、今のままでは足りないとはっきりわかるから、うまくなりたい気持ちが強くなる――。

　今も、勉強とチームの練習の両立をしながら、毎晩、夜のシュート練習は欠かさない。

「コーチもシュートは期待してくれていると思いますし、去年からずっと、シュートは打ち続けろと言われています。今年は（身体も鍛えて）リバウンドが自分の大きな役割のひとつになってくると思うので、果敢に飛び込んでいきたいと思います」と、今シーズンの目標を語る。

　2人とも、日本で大学に進むことを選んでいたら、進学先は選び放題で、苦労することもなくエースになっていたはずだ。毎試合、もっと楽に活躍していただろう。しかし、今の刺激的な毎日には代えられない。

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