野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
首位の夢、目覚めてみれば、最下位。
DeNAベイスターズ、'15年の大反省会。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNanae Suzuki
posted2016/01/05 10:40
侍ジャパンでもDeNAでも4番でプレーした筒香。打率.317、24本塁打、93打点という堂々たる成績なのだが……。
ヤスアキは横浜ファンの魂を救う守護天使か。
山崎は来る日も来る日も投げ続け、疲労が目に見えて溜まっていても投げ続け、8月20日にはついに与田剛氏の持つ新人最多セーブ記録を更新。新人王を獲得した2勝4敗37セーブ防御率1.92という文句なしの成績だけではない。
母思いの親孝行な一面、9回の登場曲『Zombie Nation』で球場が最高潮に盛り上がる“ヤスアキジャンプ”は、夏が来る頃にはあの大魔神の'98年を想起させるような盛り上がりを感じさせてくれたこと。
あとは、チーム全体が連投する山崎を労い、須田幸太いうところの「ヤスを休ませる」というものが年間のテーマになっていてそれが団結力を高めた気がする。5月16日の広島戦は山崎を休ませるために井納が「20点取られても完投させる」と託されたマウンド。これを見事140球1失点完投で応えると、山崎もTwitterで「充電完了しました\(//∇//)\#19 明日からまたフル回転!!」とアンサー。このヤスアキのTwitterは、おっさん殺しのババア殺し。12連敗で魂が抜け黒魔術に手を出しかけてしまった時も、こっぴどい逆転負けを喰らって呪詛の言葉を反芻していた時にもヤスアキの言葉の力で我に返り、球穢れなき、清浄の地へと導いてくれる。
そんなことも含め、この子はいろんなものを横浜にもたらしてくれた。まるで天使のような子である。
田中、三上の台頭で長年の左腕不足が解消!?
さらにリリーフでは'07年高校生ドラフト1位の田中健二朗がついに来た。前半戦、セットアッパーとしてしんどい場面を強気の投球で乗り切るとオールスターにまで監督推薦で出場。後半戦はあれだ。故障から明けた三上朋也だ。来年はこの2人がセットアッパーにいて、山崎康晃が抑え。さらに須田、エレラ、長田という驚きの充実っぷり。とくればあとは継投次第だ。
文字数があれだが、もうちょっと言いたい。'15年シーズンは、野村弘樹以来、吉見祐治(現バッティングピッチャー)、那須野巧(現・大山のお好み焼き「ひだまり」店主)すら育たなかったほど、左腕不毛地帯とされていたマッドすぎる横浜の荒野に、ついに新しい芽が生まれたのだ。しかも同時に2本も。砂田毅樹と石田健大。'15年の後半は実質この2人が中心で回っていた。'16年はここにドラフト1位の今永昇太も加わって、往年の大洋ホエールズの不沈艦・左門豊作いやさ、左腕豊作という勢いで頑張って頂けるに違いない。