野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
首位の夢、目覚めてみれば、最下位。
DeNAベイスターズ、'15年の大反省会。
posted2016/01/05 10:40
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph by
Nanae Suzuki
Number Web版“プロ野球・ゆく年くる年”企画は、全12球団の短期集中コラムシリーズです。年末年始にかけて、全12球団の2015年の振り返りと2016年の夢を、チームへの思い入れたっぷりの筆致でお伝えいたします!
第12回目は中畑清監督からアレックス・ラミレス監督へ変わって再起を図る、横浜DeNAベイスターズです。
夢のような半年間だった。
7月15日。ロペスの打球が巨人・村田修一のグローブの下をすり抜けた瞬間、サヨナラゲームで巨人に3連勝。大逆転で首位が確定した瞬間の球場のボルテージは前回優勝した'98年を上回ると言っても過言ではなかった。
横浜DeNAベイスターズの'15年。'98年以来、17年ぶりとなる1位。
本当に楽しかったなぁ。(前半戦)。
打線の方では3番梶谷、4番筒香、5番ロペスのクリーンナップができあがった。特に今季は筒香が4番としてどれだけ働けるかに焦点が集まり、ついでにチームキャプテンにも就任。中畑監督はシーズン前から「今季は筒香と心中」を明言し、筒香心中システムを敷いた。
4番筒香にすべてを託し、そして砕け散った。
開幕戦の東京ドーム。劣勢の中、菅野からライトスタンド上段へ放った打球は一瞬で球場の流れを変える、まさに4番の一発。続く2戦目も連続アーチを放つなど絶好調で、ベイスターズの開幕からのスタートダッシュを4番打者として牽引。5月23日には3安打を記録し、ぶっちぎりの本塁打、打点に加え、打率もトップに立ち、ついに三冠王に躍り出た!
と、歓喜した次の日でした。第一打席でのショートゴロで、一塁を駆け抜けた時に右太ももをやってしまい、二軍には落とさないまでも、スタメンを欠場しながらの様子見。このあたりから明らかに調子を崩してしまい、ホームランのペースも激減。筒香心中システムをとっている以上、チームも一緒に落ちていくことはしょうがなく。交流戦もね。あれはね。
戦列に復帰してからも左方向へヒットこそ出るが、長打がめっきり出なくなってしまう時期がちょっと長かった。それでもコンスタントに成績は残し、最終的に打率.317(セ3位)、24本塁打(セ4位)、93打点(セ3位)と三三位王ぐらいは取れたのだから上出来だ。
でもオールスターでの本塁打競争で、振れば全部スタンドインの燃えプロ状態で、山田哲人を粉砕した実力を思えば、やはり物足りない。3番の梶谷も得点圏打率はトップで盗塁2位とまずまずの成績だが、ヤの山田畠山を思えば、決して負けてはいないと思うだけにこのオフは消化不良感が残る。この2人は'15年、誰よりも悔しい思いをしている分、'16年は最も楽しみであることは間違いない。