展開に左右されにくいのは強力な先行馬。

　有馬記念は、王者メジロマックイーンが「あっと驚くダイユウサク」の大駆けに屈したり、ウオッカやダイワスカーレットやメイショウサムソンが9番人気のマツリダゴッホに突き放されたりと、驚くような結果が出ることがままある。タフな古馬GI戦線の最終戦なので消耗戦となり、さらにトリッキーな中山コースが舞台なので、ちょっとしたことが勝敗に影響する。

　そうした展開のアヤに左右されにくいのは、自分でレースをつくる、強力な先行力のある馬だ。

　という観点から浮上してくるのは、ダートから芝に転向し、神戸新聞杯を逃げ切って重賞初制覇を果たしたリアファル（牡3歳、父ゼンノロブロイ、栗東・音無秀孝厩舎）だ。

　菊花賞では終始絡まれる厳しい流れになりながら、最後までしっかり伸びて3着を確保した。

　ダート実績がある「パワー型の先行馬」だけに、今の中山の馬場にぴったりだ。古馬より2㎏軽い斤量で出走できるので、有馬記念では3歳馬が好走するケースがよくある。

　半姉のマリアライト（牝4歳、父ディープインパクト、美浦・久保田貴士厩舎）は大外16番を引いてしまったが、こちらはゆっくり行く馬なので問題ない。「姉弟」と「兄姉」の関係は逆だが、かつてのダイワメジャーとダイワスカーレットのように、ともに上位入線を果たす可能性もある。

　先行力があり、斤量面で有利な3歳、そして前走後すぐここに目標を定めたという点では、菊花賞を制したキタサンブラック（牡3歳、父ブラックタイド、栗東・清水久詞厩舎）も同じだ。

　斤量ということでは、きさらぎ賞で牡馬勢をなぎ倒したルージュバック（牝3歳、父マンハッタンカフェ、美浦・大竹正博厩舎）が53㎏で出られるのは大きい。

　4連勝でステイヤーズステークスを圧勝したアルバート（牡4歳、父アドマイヤドン、美浦・堀宣行厩舎）、3連勝でアルゼンチン共和国杯を制したゴールドアクター（牡4歳、父スクリーンヒーロー、美浦・中川公成厩舎）、ゴールドアクターに菊花賞で先着する2着となったサウンズオブアース（牡4歳、父ネオユニヴァース、栗東・藤岡健一厩舎）なども怖い。

感動的なフィナーレになるとしたら……。

　このあたりで結論。

◎リアファル
○ラブリーデイ
▲ルージュバック
△キタサンブラック
×マリアライト
注ゴールドシップ

　ラグビー日本代表の南アフリカ戦のように感動的なフィナーレになるとしたら、このなかではルージュバックかゴールドシップが勝ったときか。印をつけなかったが、ワンアンドオンリーが勝っても、「奇跡の復活劇」として伝説になるかもしれない。

　キタサンブラックが勝って、北島三郎オーナーが公約どおり「まつり」をフルコーラスで歌っても盛り上がるだろう。

　……といったことを書いていると印を変えたくなってくるのでこれくらいにして、節目のグランプリを、しかとこの目に焼き付けたい。