スポーツ百珍BACK NUMBER
道頓堀に続き、代々木公園で大騒ぎ。
リーベルサポを直撃、「日本、どう?」。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph bySatoshi Shigeno
posted2015/12/22 10:40
熱狂の渦と化した代々木公園。冬空に赤と白のチームカラーはとても映えていた。
「僕たちが負けた南アフリカを倒したじゃないか!」
アルゼンチンはサッカーだけでなく、ラグビーでも強豪国としての地位を築いている。今年行なわれたラグビーW杯では歴代最高成績となる4位。日本中を沸かせたエディージャパンと同じく躍進を果たし、ラグビー人気が上昇しているという。
「だから、W杯も多くの試合を見たんだ。そこでジャパンは、僕たちが負けた南アフリカを倒したじゃないか! あの試合、すべての時間でジャパンはエモーショナルに戦っていた。だから、サッカーでもできるはずだよ」
エディージャパンの躍進には、徹底したトレーニングや分析など様々な要因がある。それにプラスして一つひとつのプレーにかける闘争心が、勝利と人々の感銘を呼び込んだ。その姿勢が日本人だけでなく、アルゼンチン人にも伝わっていたのは驚きだった。
転じて、サッカーである。決勝戦の前に行なわれた3位決定戦で、広島は広州恒大に2-1で逆転勝利した。その試合で広島は、戦術や技術だけでなく、90分間にわたってピッチで情熱を出し切った。あのエモーショナルなプレーを、南米の強豪相手にも発揮できていれば――。今になれば、そんな思いが首をもたげる。
バルサとの力関係を理解しつつも、全力でサポートする。
靖国神社に到着すると、3人は口々に感謝の言葉を伝えてきた。
「連れてきてくれてありがとう! 最後に聞くけど、明日のスコアはどうなると思う?」
ここで気分を害してもいけないので、予想と逆のスコアを伝えた。
リーベル3-0バルサ。
「オー、最高だね! 本当にそうなったら嬉しい。マスチェラーノの素晴らしい守備を突破するんだ」
アレサンドロはリーベル出身のマスチェラーノを持ち上げつつ、こう続けた。
「だけど、バルサはとても強い。いや、“とても、とても、とても”強い。勝ちたいけど、厳しい戦いになると思う。それは僕らも理解していることだ。でも、どんな結果になっても最後まで応援して楽しむよ」
バルサとの力関係を理解しつつも、チームを全力でサポートする。その姿は決勝戦でも貫いていた。
「初めての日本はとても楽しかった。優勝を見るために、来年もまた来たい。そのためにお金を稼ぐんだ」
別れ際にミゲルが発した言葉が、サッカーにかける情熱そのものだった。