スポーツ百珍BACK NUMBER
道頓堀に続き、代々木公園で大騒ぎ。
リーベルサポを直撃、「日本、どう?」。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph bySatoshi Shigeno
posted2015/12/22 10:40
熱狂の渦と化した代々木公園。冬空に赤と白のチームカラーはとても映えていた。
アルゼンチンから飛行機で36時間!
3人は友人だというマルティーノ(43歳)とアレサンドロ(41歳)、そしてマルティーノの息子・ミゲル(19歳)。マルティーノ親子は初めて、アレサンドロは「ガジャルド監督が選手で出場した、'96年のトヨタ杯」以来2度目の来日だという。
彼らはアルゼンチンから飛行機で36時間かけて、14日に日本へ到着した。その後、道頓堀での決起集会に参加し、準決勝を観戦。大阪と京都を観光し、木曜日に「ものすごく速くて正確な」(マルティーノ談)東海道新幹線で東京へ。秋葉原にホテルを取り、電化製品を買い、街中いたるところにあるアニメイラストを楽しんだという。サッカー以外は、日本に来る典型的な観光客である。
そしてなぜかミゲルは、ブラジルW杯で日本代表が着用していたレプリカユニホームを着ていた。理由を聞くと「ブルーでデザインがカッコいい。あと安かったから」。
日本の話が出たことだし、そろそろ質問をぶつけてみる。
「もしタカハラがリーベルの選手だったら……」
――君たち、日本人プレーヤーで知ってる選手いる?
マルティーノ「う~ん……今回戦ったチーム(広島)にはいなかったかな」
ミゲル「ヨーロッパには、オンダ(本田)とカガワがいるよね」
マルティーノ「オンダの左足はストロングだ。ただ、最近はあまり見ないな」
ミゲル「そうだね。あとは、ナガモト?」
――な、長友って言うんだよ。
マルティーノ「そうなのか。とても走るよね。あとは……オノ」
アレサンドロ「オノは素晴らしいテクニシャンだ。あとはタカハラ!」
――おお! ボカでプレーしていたもんね。
アレサンドロ「そう。残念ながらボカの選手だった。もし彼がリーベルの選手だったら、心から応援していたのに(笑)」
「ボカ」という言葉を発した瞬間、彼らの眼光は明らかに鋭さを増した。一瞬ヤバいと思ったものの、3人とも笑顔で受け流すくらいには大人だった。そして会話自体もとてもフレンドリーで、筆者の質問もきちんと答えてくれる。
その真摯な態度は、決して“ならず者”ではない。そして愛するリーベル以外にも、日本代表の海外組を知っているくらいにはサッカー好きなのだ。
靖国神社の最寄駅、九段下が近づいてきた。聞いておかなければならないのは、準決勝で対戦した広島の印象である。