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世界が注目する1.4AJスタイルズ戦!
中邑真輔は、ありのままの姿で闘う。
text by
井上崇宏Takahiro Inoue
photograph byEssei Hara
posted2015/12/17 15:20
ドーム大会では過去3年連続でIWGPインターコンチネンタル王座戦に出ている中邑。「WWEを除けば、世界で一番のカードだと思っている」とコメントした。
「地獄の底に落ちちゃったんなら……」
「それでも自分にどんどんガソリンを注入していかないといけないわけですよ。ガソリンというか起爆剤を」
7月、大阪城ホールでのリベンジ戦で、その自らの起爆剤としてひねり出したのが忍者スタイルだったが、それでも後藤に勝てなかった。これはマズいぞとなった。しかし、すぐさま『G1 CLIMAX』に突入する。そこでついにアクシデントが起きた。
カール・アンダーソン戦で左肘に負ったすり傷から細菌感染して、激痛に見舞われた。問答無用のドクターストップ。もう試合のモチベーションがどうだとか、ガソリン注入が必要だとか言ってる場合じゃなくなった。試合ができない。生きてリングに辿り着かなきゃいけない状態に追い込まれた。しかし、そこで中邑は燃え尽きなかった。
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「地獄の底に落ちちゃったんなら、そこから這い上がらないといけないよなって」
メラメラと、沸々と、本能的な闘いへの欲求が生まれた。本当にギリギリのアウトな状態で、なんとか戦列に復帰して、オカダ・カズチカを破り、最後、棚橋弘至との決勝で完全燃焼した。おそらくこのとき、飯伏戦のエクスタシーが抜けた――。
世界を股にかけて最高の闘いを見せるAJ。
2016年1月4日、東京ドームでAJスタイルズと対決する。
中邑はこの一戦が決まったとき、「ついにきたぜと痺れまくった」という。
AJスタイルズはお互いがヤングボーイだった頃からずっと気になっていた男だった。世界を股にかけて最高の闘いを見せまくる、おもしろいヤツ。やがて、その男がある種の完成形となって新日本にやってきた。キャラクター性、知名度、レスリングの動き。そのすべてがプロレスラーとして脂の乗っている状態。
「それは自分も同じこと。そういう巡り合わせを掴む運というものを、お互いに持ってるんだろうなと思う」
その最高のタイミングの中に2人はいる。