相撲春秋BACK NUMBER
33歳小結、なお伸び盛りの嘉風。
中年サラリーマン奮起のヒント。
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byKYODO
posted2015/12/02 10:30
九州場所2日目、大関稀勢の里を肩透かしで破った嘉風。この前日には横綱鶴竜を倒す金星をあげるなど勢いに乗った。
「このまま現状維持ができればいい、と思っていた」
「全然“上”を目指してなかったんですよ。平幕で充分だ、少しでも長く現役生活を送れればいいや、って。今思えば、負けることに対しての恐怖心があったんです。このまま現状維持ができればいい、と思っていた」
冒険はしない。安定し、平穏無事であればいい――「守り」の体勢に甘んじていた自分が、妻の一言をきっかけに変わった。
そして年齢はもちろん、細かい数字は気にしない、とも言う。
「肥ったかどうかは、締め込みのきつさの感覚でわかるし、体重計には乗らない。“自分のベスト体重はこれ”と、数字で決めないようにしているんですよね」
「早く次の場所が来ないかな」
2.「体の疲れを取る睡眠も大事?」
トレーニング開始と同時期に、たまたま知ったイタリア製のベッドマットを使用するようになったと言う。
「それまで、睡眠時無呼吸症候群で器具を付けて寝ていて、布団なんて寝られりゃなんでもいいや、と思っていたんですが、このマットレスを使うようになって、本当にぐっすりと眠れるようになった。クタクタになるまで稽古をしていても、寝れば疲れが取れる。寝るのが楽しみなくらいで、『寝れば疲れが取れるんだから、もっと稽古をしても大丈夫だ!』と思えるようになったんですよね。睡眠をなめてましたよ……」
(注*ここではマットレスの商品名は書きませんが、ご興味のある方は「嘉風 睡眠」で検索を)
3.「成功体験を繰り返してイメージする」
「土俵に上がっている時は、相撲内容をまったく覚えてないんです。でも特に横綱に勝った相撲などは、録画したものを繰り返し見て、自分で惚れ惚れしてるんですよ(笑)。そうすると、『またあの刺激を味わいたい!』と思えるんですよね。だから、『早く次の場所が来ないかな』と思えるようになる。幼稚園に向かうバスに乗っているみたいにワクワクするんですよ」