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北の湖敏満とニッポンの記憶。~相撲の古きよきイメージの「最期」~
text by
藤島大Dai Fujishima
photograph byKYODO
posted2015/12/11 06:00
輪島、二代目若乃花、そして千代の富士との激闘は忘れられない。
冬の洞爺湖。手編みの靴下。女子生徒の顔くらいもある膝頭がぶつかる教室の机。泣ける。
北の湖親方、雲の上へ。
理事長の死ではない。かつての大横綱の往生でもない。享年62での惜別は、相撲の古きよきイメージの「最期」を意味している。
田舎の怪童は、そうであるがゆえに親元を幼くして離れ、東京の下町、現在の国技館のそばの両国中学に転校する。望郷に涙しながら稽古に励み、まげを結い、着物も身につき、出世、また出世、いつしか列島の偶像となる責務を太い腹で引き受ける。
本名、小畑敏満。北海道南部の洞爺湖の近隣、有珠郡壮瞥町に8人兄弟姉妹の7番目として生を享けた。父は農協の職員だった。