33歳の嘉風が、9場所ぶりに小結に返り咲いた。3場所連続で二桁勝利を挙げ、なかでも先の秋場所は土俵狭しと動き回り、横綱白鵬と鶴竜から金星を奪取。殊勲賞と技能賞のW受賞を果たし、今、波に乗って土俵を沸かせているのだ。

「自分でもよくわからないんですよ（笑）。30歳を超えると下降線をたどると言うけれど、その実感がないんです。むしろ、20代の頃より今のほうが強いと思うんですよね」

　自分なりにその理由を探す嘉風の、その言葉のひとつひとつが興味深い。

「まずは妻の叱咤激励。30歳になる前後に、松鳳山や妙義龍などの後輩たちに三役昇進の先を越された。三役経験者にも勝てたりするのに、『あなた、このままで悔しくないの？』と言われたんです。それで、『今ならまだ間に合うかも』と、約2年前から個人トレーナーに付いてトレーニングを始めたんですよね」