セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
インテルの変化で長友も完全復活!?
勝つチームをいじり続けて現在首位。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/11/19 10:30
長友佑都のスピードと1対1守備は健在。契約が延長されれば、来年はインテルでの7シーズン目となる。
チームの変化で、長友も完全に甦った。
しぶとさを増すチームに、タイトルへの声は高まる。'98年にUEFA杯を制し、御意見番であるOB監督シモーニは「今年のチームはまだ成長中の段階。つまり今より弱くなることはない。十分優勝は狙える」と期待を寄せる。
インテルの絶え間ない変化の中で、DF長友も甦った。
昨夏、相次ぐサイドプレーヤーの加入で、長友は居場所を失くしたはずだった。2節カルピ戦での途中出場以来、プレー機会は途絶え、ベンチを温めるだけの週末が続いた。
転機は、リザーブ組や若手選手にプレー機会が与えられた10月21日の親善試合L・ベルルスコーニ杯だった。ベストコンディションにあることを指揮官マンチーニへアピールした長友は、3日後の9節パレルモ戦で今季初めてスタメンに名を連ねた。右サイドバックとしての起用だったが、79分にDFムリージョが退場となり数的不利となった後、むしろ長友らはよりアグレッシブに攻めたて、アウェーでの勝ち点1をもぎ取った。
守備でスタジアムを沸かせ、FKキッカーも。
ローマ戦で先発の左サイドバックに抜擢された長友は、守備で目覚ましい働きを見せた。
快足FWジェルビーニョへ正面のマークについた後、2度、3度と切り返されても、長友は重心を低く落としたまま、すっぽんマークでクロスを徹底的に阻止した。自陣に攻め込もうとする快足FWサラ―に長躯で走り勝ち、カウンターのピンチを防いだ後半の場面では、サン・シーロに大歓声が沸いた。
「タフネスとスピードがあり、相手のプレーを断ち切った上で、素早いリスタートを切れる選手が欲しかった」という指揮官の難しいリクエストに見事応えた長友は、トリノ戦でも続けて先発起用された。ロスタイムも含む前後半合計100分間を走破し、突破力で鳴らす対面のMFペレスに仕事をさせなかった。
インテルが変わり続けるように、長友の役割にも変化が起きた。FKやCKといったセットプレーで、キッカー役を任せられるようになったのだ。トリノ戦の決勝点を生んだ低いFKも、長友の右足から放たれたものだ。