フットボール“新語録”BACK NUMBER
公式戦で計測デバイス使用可能に。
IT機器がもたらすサッカー革命。
posted2015/11/17 10:30
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
「デバイスには『加速度計』、『ジャイロスコープ』、『磁力計』が内蔵されている。それによってトラッキングカメラでは不可能なデータを得られるようになりました」
斎藤兼(カタパルト社のビジネス開発マネージャー)
今年7月、サッカーの常識を覆すルール変更が、またひとつFIFAからアナウンスされた。
これまでサッカーの公式戦では、選手にGPSなどの「計測デバイス」をつけることは禁止されていたが、IFAB(国際サッカー評議会)の要請により、ついに解禁されることが決まったのだ。
IFABとは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各協会からの代表者1人とFIFAからの代表者4人で構成される、サッカーのルールを決める組織だ。これまでには「ゴールライン・テクノロジー」の導入などがここで認可されてきた。
今年5月のIFABの会合においてGPSデバイスが正式に認められ、それを受けてFIFAは、その導入を各大会の運営者や各国のリーグ主催者に委ねることを発表したのだった。
すでにFIFAの大会では使用実績が。
すでにFIFAの大会では、今年5月から6月にかけてニュージーランドで開催されたU-20男子W杯、6月から7月にかけてカナダで開催された女子W杯でGPSデバイスが解禁された。ニューヨークタイムズ紙によれば、女子W杯ではアメリカやカナダなど7チームが使用していたという。
依然として、ベンチにいる監督やコーチが試合中にGPSデバイスから情報を受け取ることは禁止されているが、ハーフタイムには活用することが認められている。
現在、世界の多くのリーグでは高価なトラッキングカメラによって選手の走行距離やスプリント数が計測されているが、それよりも安価で測れるようになる。元々、練習および練習試合ではGPSデバイスの使用は自由だったが、やはり公式戦は別物。今回の規制緩和は、サッカー分析業界に大きなインパクトを与えることが予想される。