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村田諒太、ついに米リングで初勝利。
「最低の試合」か、意味あるデビューか。

posted2015/11/09 11:50

 
村田諒太、ついに米リングで初勝利。「最低の試合」か、意味あるデビューか。<Number Web> photograph by AFLO

トップランク社と契約した際の目標は「3年、10戦で世界戦へ」。2016年でその3年だ。

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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 ロンドン五輪金メダリストでWBCミドル級5位など主要4団体で世界ランク入りしている村田諒太(帝拳)が7日(日本時間8日)、米国ラスベガスのリングに上がり、元世界ランカーのガナー・ジャクソン(ニュージーランド)に3-0判定勝ちを収めた。プロ8戦目にしての米国デビュー戦は、村田本人が「自分のボクシング人生で最低の試合」と語ったこともあり、翌日の新聞報道も軒並み辛い論調。はたして村田のラスベガス・デビュー戦は本当に“最低”だったのだろうか─―。

 華々しい米国デビューをファンも関係者も、何より村田自身が願っていた。試合会場となったトーマス&マックセンターは、これまでに数々の名勝負が繰り広げられてきたラスベガスでも指折りのアリーナ。そして村田の試合を裁くのは、5月に行われた“世紀の一戦”フロイド・メイウェザーvs.マニー・パッキャオを受け持った有名レフェリーのケニー・ベイレス。申し分のない舞台が整えられた。

「オーケーな試合だが、グッドではない」

 対戦相手のジャクソンの戦績は22勝8KO6敗3分。31戦してKO負けが一つもなく、昨年1月には元世界王者のアンソニー・マンディン(豪州)ともフルラウンド戦っている、というのが“売り”だが、そのキャリアはだれの目から見てもホープの引き立て役だ。ミドル級で世界を狙う村田が快勝を狙うのも当然だった。

 しかしラスベガスのリングは、思惑通りにことを運ばせてはくれなかった。村田は2回からペースアップして、重厚なボディブローを軸にジャクソンを追い込んでいき、優勢に試合を進めた。ところがジャクソンの抵抗はいつまでも続き、村田の焦りとジャクソンの必死さがクリンチやホールドを増やすというもどかしい展開。大差判定勝利ながら見せ場を作れなかった内容が「最低の試合」という発言につながったのである。

 報道によると、この試合を主催した「トップランク」社の大物プロモーター、ボブ・アラム氏は「オーケーな試合だが、グッドではない」と村田のパフォーマンスを評したという。

【次ページ】 層の厚いミドル級では、アメリカこそが本場。

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