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驚愕したガンバの新スタジアム。
募金140億円で作った“手づくり感”。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshio Ninomiya
posted2015/10/30 10:40
視線の高さが変わらないこともあり、ピッチまでの距離は本当に近い。サッカー観戦はもっと面白くなる。
寄付者のネームプレートがスタジアム内に。
140億円を大切に使うというスタンス。
1回の申し込みで5万円以上の寄付者に対して、ネームプレートを用意してスタジアム内に飾られるという。
募金活動は決して簡単ではなかった。
「(募金活動の)1期で集めることが目標だったんですけど、(1期に)集まったのは約78億円でした」と梅本広報は言った。
クラブスタッフたちはあちこちでパンフレットを配った。試合の来場者、クラブのショップ、パートナー企業、行政や商工会議所などの会合……様々なところに顔を出しては、一人ひとりに熱心に説明して、協力を求めた。
「お孫さんの名前をネームプレートで残しませんか」
「新スタジアムを大阪、関西の活性化につなげたいんです」
2期、3期でようやく募金の輪が広がってきた。それでもまだ6、7億円足りなかったという。そんな折、後押ししたのが他ならぬトップチームであった。
ガンバの3冠獲得で一気に広まった募金活動。
J2から復帰した昨シーズン、リーグ制覇のみならず、ヤマザキナビスコカップも天皇杯も制して3冠を達成してみせたのだ。
チームの活躍が新スタジアム設立を世間に広く認知させ、寄付の輪をさらに広げる形になっていった。
「募金していただいた、協力していただいたみなさんのおかげです。スタジアムをつくりたいという思いがあればできる。ガンバ大阪がもし、そういう道をつくれたのであれば、とてもうれしいですね」
梅本広報は、そう言葉に力をこめた。