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デムーロとルメールが語る日本競馬。
いま評価するライバルジョッキーは?
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakashi Shimizu
posted2015/10/29 12:30
2人とも京都在住。長年のライバル同士である一方、プライベートでは仲の良い友人でもある。
ヨーロッパでは母国以外での騎乗は当たり前。
クリストフが指摘したのは「もっと海外に出ろ」ということだった。
生まれはミルコがイタリアでクリストフはフランス。ヨーロッパにはイギリス、ドイツなど主要国で軒並み競馬が盛んだから、騎手は母国以外で騎乗するのが当たり前なだけに、日常的に海外に出ない日本人は経験不足に陥りやすいというのだ。
ミルコはとりわけ若い騎手に海外をすすめる。
「特に若い子は海外で経験を積むといい。飛躍的に上手くなれる可能性があるからね。僕自身、イタリアだけで乗っていたら、日本でこんなに勝てなかったはずだから」
対談はフランス語、イタリア語、英語に日本語という、なんと4カ国語のミックスで行われた。
そのこと自体が彼らの経験値の高さを表わしているし、過去の勝利に触れると話のスケールが途端に大きくなる。
「ヴィクトワールピサでドバイワールドカップを勝たせてもらったけど、やっぱり日本馬で海外のGⅠに勝つのは夢だった」
2011年の格別な勝利を思い出し、ますますミルコの酒のピッチが早まる。
2人の日本での目標。
「僕は今なら日本の馬に乗って凱旋門賞で勝ちたい。日本のホースマンも凱旋門賞を目指しているけど、今のところ2着が最高成績だから、タッグを組んで一緒に勝利を掴みたいんだ」
夜も更けてきたのに、クリストフにも気合いが入る。
2人に、日本の競馬での目標を聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
「土曜日の第1レース! 週末最初のレースで弾みをつけて、その週の全部のレースに勝ちたい」
本気でもありジョークでもある。ミルコの鉄板フレーズが飛び出した。
「それいいね! 僕もどんなレースでも勝ちたいけど、特に日本ダービーで勝ってみたい。ミルコは2回も勝ってるなら、僕に1回分ちょうだいよ」
あれ……クリストフは眼が据わってないか? ホントにもう、そろそろこのへんで……。
そして、京都の夜は更けてゆくのでありました。
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