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錦織圭と清宮幸太郎は似ている!?
新時代アスリートの天才的コミュ力。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHiromasa Mano
posted2015/10/16 13:15
楽天オープン連覇を逃した錦織。ただ、勝っても負けてもキッチリと記者会見に臨む錦織の姿勢はプロの矜持を感じさせた。
報道陣全員を和ませる、清宮の当意即妙のコメント。
清宮は囲み取材で「がんばります」「わかりません」と言った類の言葉は絶対に使わない。
先日、秋季東京都大会の初戦のあと、こんなシーンがあった。
記者のバッティング技術に関する質問に、つい「よくわかんないっス」と口走ってしまったのだが、慌てて「よくわかんなくはないですね。申し訳ないです」と釈明し、フィルムをハサミで切る「カット」の仕草をしながら「今のところは……」といって報道陣を笑わせた。そして、改めて記者の疑問に対し詳細に語り始めた。清宮のすごさは、こんなところにもあるのだ。
日本では「男は黙って」という美学があるが、それは海外では通用しない。欧米圏ほど顕著だが、何も言葉を発さないということは、何も考えていないことと同義だと見なされ、バカにされることさえある。
誰よりも無口だった錦織が、どんなときでも律儀に取材対応する姿を見て、世界を舞台に戦い、結果を出し続けてきた選手の勲章とも呼べる「傷痕」を見た思いがした。