彼は、今最も過激なプロレス団体の代表者。

　彼の名は佐々木貴という。デスマッチやハードコア路線で今最も過激なプロレスを行う団体FREEDOMS（通称ダムズ）の代表者にして、“殿”と呼ばれる象徴。日本が世界に誇るデスマッチのカリスマ葛西純（野球興味なし）と二枚看板をなすトップレスラーでもある。

　名前からして“佐々木＋タカシ”というベイファン（特にみずしな先生のファン）にはたまらないこの人も、ガッチガチのベイスターズファン。

　その熱狂度たるや、公式のタオルに青地に白で「We☆FREEDOMS」という、よりによってこの時期に本家をパクり切るという斬新なデザインのタオルを採用するわ、キャンプの時期に合わせて沖縄で、MAZDAでの試合に合わせて広島でと、巡業の日程はベイスターズを軸に組まれるわ、何故かハマスタ観戦ツアーを組むわ、ペイントレスラーの吹本賢児をスターマンの顔にするわ、ファン感謝デーにはブースを出すわ、といつか所属選手から文句が出るんじゃないかとヒヤヒヤするぐらいのベイスターズ狂。

　そんな地道な活動が実ったのかどうだか知らないが、今やダムズの試合会場にベイのユニフォームを着た人を、逆にハマスタにダムズのTシャツを着た人を見かけることも珍しくなくなった。

「プロレスとベイスターズは絶対に切り離せない」

　佐々木は言う。

「僕の人生において、プロレスとベイスターズは絶対に切り離せない存在なんです。生きることの意味、そして生き様。他人には理解されないかもしれないですけどね。『なんでベイスターズなの？　あんなに弱いのに？』と言われても的確な言葉が見つからない。

　ベイスターズの試合は面白いんだ。10点取っても11点取られる。完全に負けたと思っても最後の最後でひっくり返す。とにかくすげぇんだと言うしかないでしょ。デスマッチも同じですよ、血みどろになって命懸けでやっても、見る人によっては『バカじゃないか』で終わり。

　でもね、プロレスも野球もそうだと思うんですけど、その戦いを、生き様を見て熱狂してくれる人がいる、涙を流してくれる人もいる。効率がいいかと言えばよくない。カッコいいかと言えばカッコ悪いですよ。でもね、それが生き様なんですよ。ベイスターズは僕にとってデスマッチと同じなんです」

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