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“結果にコミットする”プロレスラー、
M・エルガンが来日の夢を叶えた時。
text by
井上崇宏Takahiro Inoue
photograph byEssei Hara
posted2015/09/01 11:20
初来日にして、「エルガン! エルガン! エルガン!」とG1の試合会場で割れんばかりのコールを巻き起こした。日本のプロレスファンの心を、ひと夏で鷲掴みにした久々の外国人レスラーだ。
柴田勝頼が驚愕した、エルガンのある光景とは?
G1シリーズ開催期間中のある日のこと。博多のスポーツジムで柴田勝頼はエルガンとばったり居合わせた。
自身のトレーニングをしながら遠目にエルガンの様子を見ていると、ケーブルでのラットプルダウンを一番重い負荷でがんがんやっていて、周囲の極太なボディビルダーたちを唖然とさせていたという。
「いやあ、あの光景は同じプロレスラーとして誇らしかったですよ。そのとき俺は右腕をケガしてたから、軽いやつをゆっくり上げ下げしていただけだったので(苦笑)」
エルガンの性格は暗い。だからめったに笑わない。
ざっくり分けて、北米アメリカの半分から上の寒い土地出身のレスラーは往々にして性格が暗いという特徴があるようだ。
新日本に参戦中の外国人レスラーを例にとると、ミシガン州デトロイト出身のアレックス・シェリー、カナダ・マニトバ州出身のケニー・オメガ、そしてトロント出身のエルガン。
一方で、ノースカロライナ州出身のカール・アンダーソンや、カリフォルニア州生まれのヤングバックスなどは陽気の塊のような男たちである。
IWGPジュニアヘビー王者KUSHIDAが語るエルガン。
そのケニー・オメガの故郷であるマニトバ州で、2010年にエルガンと闘ったことのある日本人レスラーがいる。現IWGPジュニアヘビー級王者のKUSHIDAだ。当時、KUSHIDAはまだ新日本所属となる前で、単身カナダに修行に出かけていた。そのときリング上で出会ったのがエルガンだった。
KUSHIDAが当時のエルガンの印象を振り返る。
「日本人レスラーの技を多用してたから、日本のプロレスへの憧れがあることはすぐにわかった。当時のスタイルは“ひとり四天王プロレス”みたいな感じで(笑)」