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「Noch mehr!」という叫びの意味は?
3戦連続得点、香川真司好調の理由。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/08/28 17:10
この日1点目のゴールをアシストしたギンターに飛びついて喜ぶ香川真司。今季はここまで絶好調、クラブもリーグで首位に立っている。
3試合連続ゴールも、1試合複数ゴールも3年ぶり。
もちろん、チームメイトのために働けば、今度は自らがゴールを決めたくなる。
香川にとってこの試合での1点目が、40分に生まれる。右サイドをえぐったギンターのクロスが、ディフェンダーにあたって軌道が変わる。突然の軌道の変化に、ゴール前につめていたロイスも相手のディフェンダーも反応できない。しかし、ファーサイドにきっちりつめていたのが香川だった。
こぼれ球を左足で難なくゴールへ蹴り込むと、アシストをしたギンターのもとに一目散にかけ寄った。つい最近まで放出候補と言われながらも、インゴルシュタット戦で先制ゴールを決めて浮上のきっかけをつかみつつあったドイツ代表ディフェンダーも、満面の笑みでこれに応えた。
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後半ロスタイムにも、香川のゴールは生まれた。バイグルが右サイド、敵陣の深いところでプレッシャーをかけて奪ったボールを途中出場のオーバメヤンが拾うと、GKが出てきたところを見計らって、折り返す。ゴール正面でフリーになっていた香川は落ち着いて、ゴールに流し込むだけでよかった。
香川が公式戦で3試合連続ゴールを決めるのは、ドルトムントに在籍していた2012年3月以来のこと。そして、ドルトムントで1試合に複数のゴールをマークするのも、同じく'12年3月のケルン戦以来のことだ。
いい流れと、それを掴むための心身のコンディション。
この試合の2つのゴールにも、共通点があると香川は考えている。
「あそこに走り込むのが自分の良さです」
さらにこうも感じている。
「そういうところに転がってきてるというのも、(自分にとって良い)流れがあるということだと思う」
自分のもとにボールがこぼれてくるかどうか、押し込むだけで良いボールが来るかどうかは、運などに左右される要素が決して小さくない。しかし、そうした運をつかみとるためには、ゴールにつながりそうな場所とタイミングをかぎわけ、そこに向かって走らないといけない。
今の香川には運をたぐり寄せる動きを続けるだけの、心のコンディションと身体のコンディションが整っているのだ。