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「Noch mehr!」という叫びの意味は?
3戦連続得点、香川真司好調の理由。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/08/28 17:10
この日1点目のゴールをアシストしたギンターに飛びついて喜ぶ香川真司。今季はここまで絶好調、クラブもリーグで首位に立っている。
代表にも通じる、引いた相手の崩し方。
奇しくも、この日は9月のロシアW杯2次予選の日本代表メンバーが発表された日だった。香川も、ドルトムントで戦っていることが日本代表にもつながるという実感を口にした。
「今日も基本的にサイドからのボールが多かったと思うんですけど、そういうのを上手く活かしていけた。特に、イリー(ギュンドガン)からの斜めのボールだったり、そういうクオリティーが高かったから、こんなに簡単にゴールが入る。斜めのダイアゴナルの浮き球のボールだったり、そういうところで何回もチャンスになっていたので。それは代表にも通じるものがあるんじゃないかなと、感じながらやっていました。
引かれた相手が多くなる中で、どう崩したらゴールが入るのか。結局、中は固いのでサイドからが必要だと思うし、そういう意味では代表に通じるものを感じました」
自ら2ゴールを決めた。とりわけ自身1点目のゴールが決まったときには、クロスを送ったギンターに飛びつき、喜びを全身で表現した。にもかかわらず、ゴールを決められたのは味方のおかげだったと口にする。
トゥヘル監督が、香川を重宝している理由は明らかだろう。
チームのためのプレーと、自らの特長を出すようなプレーとを、絶妙なバランスで披露できているからだ。
ただ、トゥヘル監督のもとで香川がプレーを始めてからまだ2カ月もたっていない。チームとしてのコンビネーションは、まだまだ磨きがかかるはずだ。
ドイツ語で答えた「Noch mehr! Noch mehr!」の意味。
試合の後、ドルトムントを追い続ける名物記者から「もはやマンチェスター・ユナイテッドに移籍する前にドルトムントで活躍したときと同じようなパフォーマンスを見せているのではないか」と問われた香川は、ドイツ語でこう答えた。
「Noch mehr! Noch mehr!」
それは過去との比較には意義を感じない香川が、チームと自身の明るい未来を信じているからこそでた言葉だろう。
このドイツ語を、あえて日本語に訳すとすればこうなる。
「もっと行ける! もっと行ける!」