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メッシ、ネイマール、スアレスの壁。
出場機会を求めたペドロの決断。 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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posted2015/08/20 07:00

メッシ、ネイマール、スアレスの壁。出場機会を求めたペドロの決断。<Number Web> photograph by AFLO

ペドロが優れた選手であることを疑う余地はないが、メッシ、ネイマール、スアレスの壁はあまりにも高すぎる。出場機会を確保するためには移籍しかないが果たして……。

メッシ、ネイマール、スアレスの高すぎる壁。

 新しい契約書にサインをした後、ペドロはカンテラ時代に付き合い始めた彼女と結婚式を挙げ、夏休みを満喫した。

 幸せを絵に描いたような1カ月。なのに昨季抱いたもやもやを、どうしても払拭することができなかったという。

「バルサほど素晴らしい場所はないってわかっている。このチームの一員になるのは僕の夢だったし。でも、誰にだって『もっと巧くなりたい、試合に出たい』という気持ちはあるだろ」

 基本的に4-3-3というフォーメーションを使うバルサでは、フォワードは3人しか出られない。

 うち1人はメッシ。これは仕方がない。昨季の通算プレイ時間は断トツの4972分だ。

 問題は2人目、3人目である。

 昨季の順番でいうとネイマールが4012分で、スアレスが10月下旬まで出場禁止令下にあったにも拘わらず3442分。

 ペドロは12月末までと1月以降を足しても2219分。

「ちょっと頑張れば逆転可能」、「コンディションさえ整えればきっと追い抜かせる」といったごまかしが利く差ではない。

ロナウドの控えであることを嫌い、マドリーを出た選手も。

 ヒエラルキーの頂点といえるクラブで背番号をもらっているのだから、「選ばれた選手」であることを満喫し、悠然とチャンスを待てばいいという声もある。実際、そういう選手はいる。

 しかしペドロの同志も少なくない。

 たとえば昨季レアル・マドリーから期限付きでビジャレアルへ移って大活躍したチェリシェフは、シーズン途中に行われたインタビューでマドリーに戻ることについて問われ、こう答えている。

「現実的に考えなきゃいけない。俺のポジションにはクリスティアーノという最高の選手がいるだろ。俺の望みはあくまで試合に出ることであり、いま俺はビジャレアルでかつてない経験をしている。この状態は絶対に変えたくない。俺にとって重要なのはピッチに立つこと。サッカーはゲームなんだから、参加しなかったら意味がない」

 選手は試合に出てこそ選手なのだ。

【次ページ】 「バルサから出ていきたいわけじゃない」

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