リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
メッシ、ネイマール、スアレスの壁。
出場機会を求めたペドロの決断。
posted2015/08/20 07:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
AFLO
「もっと試合に出たい」
ペドロがそう思っていると報じられるようになったのは昨季のちょうど半ば。今年の1月頃だ。
一昨シーズンのバルサの全公式戦59試合のうち、ペドロは38試合に先発出場した。通算プレイ時間は3314分。59試合全てにフル出場していたら5310分だから、約62%である。
そして昨季はというと、まず12月末までの全公式戦24試合を見ると、先発したのは13試合。通算プレイ時間は1191分で、割合は約55%。
この時点で十分減っているので不満を抱いても不思議ではないが、1月以降はさらに減った。閉幕までの36試合のうち先発したのはわずか8試合で、通算プレイ時間は1028分。たったの約32%だ。
その最中の3月初め、ペドロの心情は改めて報じられ、この夏の移籍が確定事項のように噂され始めた。
するとCL決勝戦を2日後に控えた6月4日、バルサは3年の契約延長でペドロと合意に至ったことを発表した。7月の会長選挙を前に一旦辞任しなければならないバルトメウ会長が、まだ決定権を握っているうちに慰留に乗りだしたのだ。
サッカーの世界、契約が移籍の歯止めになることはない。とはいえ「君を頼りにしている」というクラブ側の姿勢をペドロは快く受け入れたわけだから、少なくとも今年の退団はなくなったと思われた。
移籍話の火種は、ペドロ自身だった。
ところが7月に入ると移籍話が再燃する。しかも今度は可能性のある行き先付きで。
挙げられたのはチェルシーにPSG、アーセナルにリバプール、マンチェスターのシティにユナイテッド。
常に話題を作り出すメディアのやり方を知っているファンは、鎮火を待った。ペドロ本人が否定すればすぐに収まる。
が、そうはならなかった。ペドロ自身が火種だったからだ。