プロレスのじかんBACK NUMBER
G1の勝者は棚橋弘至だったが……。
中邑真輔が貫き通した、ある信念。
text by
井上崇宏Takahiro Inoue
photograph byEssei Hara
posted2015/08/17 14:30
32分を超える激闘を終えたふたり。宿命のライバルであるふたりだが、実はG1決勝では初の対戦であった。
“世界の中邑真輔”として、貫き通したもの。
とはいえ、そこまでこだわり抜いた飛びつき腕十字に、意味はあるはずだ。
それは、中邑のプロレスラーとしての根幹であると同時に、あの和洋折衷のコスチューム同様、世界中に向けた派手なデモンストレーションではなかったか。
満身創痍の中邑に、そこまでの余裕はあるはずがない……いや、そこまでやるから中邑真輔なのだと思い直す。
中邑の根底にあるもの――。
プロレスラーを志したのは腕っぷしだけじゃなく精神的に強くなりたかったから。
そして、世界中を旅したかったから。
今年のG1を制したのは、かつて猪木に「俺は“新日本のリングで”プロレスをやります」と宣言した棚橋だった。棚橋は間違いなく新日本のエースだ。そして、中邑は……。