松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
荒天の全英、聖地で首位と5打差!
松山英樹に訪れる“決戦の月曜日”。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byMaki Uchida
posted2015/07/20 11:30
「メジャーで優勝争いをしたい」のではなく、「メジャーで勝つことを目指す」と今季は名言している松山。夢の達成まで、あと一歩!
バンカーに入れたミスよりバーディーを落としたミス。
何が一番、悔しかったのか。
傍から見れば、フェアウエイから「ロードバンカー(聖なるバンカー)」に入れた17番の第2打が最も悔しかったのではないかと思えた。
グリーン手前の小さく深いポットバンカーにボールが消えた途端、「ワッ!」と声を上げ、悔しさを思わず吐き出した松山。ラウンド中、彼がそんなふうに声を上げるのは、きわめて珍しいこと。
だが、その一打が悔しかったというよりも「その前に(ずっと)バーディーが入らなかったのが悔しい。特に14番が悔しい」。
この日、初ボギーを喫した14番(パー5)。低く強い弾道でグリーン手前の土手を転がし上げようとした第3打はグリーン手前で止まってしまい、そこからパターで寄せた第4打を含めると、実質的には3パットのボギーとなった。
「(3打目を)もうちょっと強く打てていれば、バーディーチャンスに付いていたけど、でも、3パットが痛い」
パットにいい感じが「来る」か「来ない」か?
ショットに関しては、どう感じていたのか。出だしの1番の第1打は明らかにミスヒット。ピンを狙ったアイアンショットは前日ほどピンに絡みはしなかったが、大きなミスがあったわけでもない。
「まあ、良くない感じもあったけど、ロングアイアンはそんなにベタピンに付けることはないし。それなりにチャンスは多かったけど、昨日とおととい、入っていたようなパットが入らなかったのが残念」
あくまでもパット。
悔しさすべてがパットに集約されていた。
それならば、第2ラウンドで好転したパットが、なぜ再び入らなくなったのか。
グリーンは「あんまり変わらない」。芝の影響は「関係ありません」。タッチの問題か。「いいえ、タッチは合ってました」
でも、入らなかった。そのワケは、もはや理屈ではないのだろう。職人気質で芸術肌の松山にとって、ゴルフは、とりわけパットは、いい感じが「来る」か、「来ない」かという“感性”によるパフォーマンスなのだ。