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武藤嘉紀がドイツでメッシになる?
『ビルト』紙の評価とチームでの役割。
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph byBongarts/Getty Images
posted2015/07/15 10:50
チームマネージャーのクリスティアン・ハイデルと握手する武藤。ハイデルは、ドルトムントで名を上げたユルゲン・クロップ監督などを見出した名伯楽でもある。
「しっかりと自己分析できるかどうか」
かつてシュツットガルトで岡崎、酒井高徳のサポート役を担い、両日本代表の成長を間近で見てきた指導者の河岸貴氏はこう話す。
「ブンデスリーガでやっていくうえで、大事なのはしっかりと自己分析できるかどうかだと思います。慎司も高徳もドイツのサッカーに適応しようと、常に『自分に何が足りないか』と試行錯誤していました。武藤君も同じように考えられるタイプではないでしょうか」
マインツを新天地に選んだ点も、河岸氏にはポジティブに映っているという。
「マインツは慎司が活躍したクラブですので、日本人への“免疫”があります。チームメイトとしっかりコミュニケーションを取ることが大切ですが、日本人だからと言って、パスが回ってこないようなことはないはずです」
ウイングのレギュラーを争う4人のライバル。
戦術的な見地に立っても、チームとの相性は悪くないはずだ。
マルティン・シュミット監督率いるマインツは、守備時のハードワークや攻守の素早い切り替えを基盤に、鋭いショートカウンターを繰り出そうとする堅守速攻型のチーム。基本戦術を機能させるうえで、前線での献身的なプレスを厭わないだけでなく、守備から攻撃への切り替えが速く、縦への推進力がある武藤が足枷になるとは考えにくい。むしろシュミット監督が「ウチのスタイルに合致する」と語るとおり、戦術上不可欠な存在となってもおかしくない。
起用が有力視されるウイングのレギュラーを争うのはバイスター、デブラシス、ハイロ、クレメンスの4人。
いずれも武藤にないブンデスリーガでの経験や独自の強みを持っているが、それぞれ不安を抱えている。
この中で唯一のレフティーであるバイスターはここ数年怪我に泣かされており、トップフォームを取り戻せるか未知数。デブラシス、ハイロ、クレメンスは前述したとおり、得点力不足が否めない。デブラシスに至っては、7月11日のテストマッチで全治4週間の怪我を負ってもいる。
入団会見で「世界的なプレーヤーになりたい」と宣言した武藤からすれば、恐れを抱くようなライバルではない。