サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
過去の五輪代表には、A代表がいた!
前園、中田、清武の系譜を継ぐ者は?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byNaoya Sanuki
posted2015/07/02 16:30
アトランタ五輪最終予選で喜びを爆発させた選手達の中には、前園真聖や城彰二の姿が見える。フル代表での彼らの経験はチームに大きな成長をもたらした。
五輪代表監督がフル代表のスタッフであることも大きい。
反町康治が率いた北京五輪代表の選手たちは、チーム結成当初から絶えずフル代表に招集されている。イビチャ・オシム代表監督のスタッフに、反町が加わっていた影響もあっただろう。
'07年秋に繰り広げられた最終予選を前に、センターバックの水本裕貴、アタッカーの梅崎司、水野晃樹、家長昭博がフル代表にその名を刻んだ。国際Aマッチデビューは予選突破後となるものの、西川周作や本田圭佑もフル代表の緊張感や重圧に触れている。
2012年のロンドン五輪代表では、清武弘嗣が'11年8月の韓国戦でフル代表としての初陣を飾った。この試合で途中出場から2アシストを記録し、9月2日のブラジルW杯予選では決勝点を演出する。北朝鮮を後半ロスタイムに振り切るスリリングな一戦で、価値ある働きを見せた。9月21日の最終予選開幕をまえに、彼はフル代表の貴重な交代カードとなりつつあった。
2012年3月まで続く最終予選と並行して、ロンドン世代の権田修一、酒井宏樹、原口元気、宇佐美貴史らもアルベルト・ザッケローニのフル代表に加わった。最終予選で控えの一員だった酒井高徳は、2011年1月のアジアカップでフル代表に選ばれていた(ケガで大会前に離脱)。ロンドンでベスト4に食い込んだ関塚隆監督のチームにも、フル代表の刺激が注入されていたのである。
U-22には、現在のフル代表にいないタイプもいる。
今年5月の日本代表候補合宿には、U-22日本代表からDF岩波拓也、植田直道、FW浅野拓磨の3選手がリストアップされていた。植田はハビエル・アギーレ前監督のもとで1月のアジアカップに参加している。
とはいえ、国際Aマッチの緊張感は彼らにも未知の世界だ。欧州でプレーする久保裕也と南野拓実の両アタッカーも、ヴァイッド・ハリルホジッチ体制で海外組に加わることはできていない。
高さと強さを兼備する岩波と植田は、フィードにも見どころがある。浅野は加速力とパンチ力を持つ。
手倉森監督がU-22代表チームのキャプテンに指名する遠藤航も、日本代表デビューが待たれる選手のひとりだ。所属する湘南ベルマーレで3バックの右サイドを、U-22日本代表ではボランチを定位置とする彼は、守備のオーガナイザーにも攻撃の起点にもなれる。
圧倒的な運動量を強みとするベルマーレの一員だけに、ハードワークと球際の激しさも身に付いている。現在の日本代表にはいないタイプである。