クルム伊達公子の名言 

試合はすべて駆け引き。審判や周囲も巻き込んでの話なので、そのあたりをうまくコントロールできることも選手としては大切なことなんです。

クルム伊達公子(テニス)

1996年の全英オープン。当時25歳の伊達公子は、アジア人選手としてはじめて準決勝に駒を進めた。対戦相手は絶対女王シュテフィ・グラフ。第1セットは2-6でグラフ、第2セットを0-2から伊達が6ゲームを連取し、勝負は第3セットへ。伊達の逆転勝ちを多くの人が信じた矢先、主審は日没順延を宣言。スロースターターの伊達を相手にするには、翌日に最終セットが持ち越されたほうがチャンスはある──まだプレー続行は可能な明るさだったが、グラフの要望が通ったのだ。翌日の午前11時過ぎに再開された試合は、わずか26分でグラフが片をつけた。あのとき、そのまま試合が続行されていたら第3セットはどうなっていただろう? 「同じ日なら精神的な部分でより影響が大きかった。その分勝てる可能性は高かったと思います」と伊達は言う。しかし、伊達は負けた。グラフの駆け引きにしてやられたのだ。

Number880号(2015/06/18)

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