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なぜトヨタはラリーを選んだのか。
その期待を担う2人の若きドライバー。
posted2015/06/04 18:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Kiichi Matsumoto
2017年から世界ラリー選手権(WRC)に復帰するトヨタが、日本の若手ラリードライバーを育成する「TOYOTA GAZOO Racing チャレンジプログラム」を本格的に始動させた。1973年から参戦していたWRCからトヨタが撤退したのは1999年。F1参戦(2002年)がきっかけだったが、そのF1からはすでに撤退している。
「私が社長である限り、F1に参戦することはないだろう」
そう公言する豊田章男社長はラリーを選んだ理由を、こう説明していた。「道が人を鍛える、人が車を作る。ラリーはもっといいクルマを作るための最高の舞台」なのだと。一般道を走り、市販車をベースに競い合うラリーという競技は、メーカーにとっての技術的フィードバックが大きいのみならず、観客にとっては、より身近に感じられるモータースポーツであるはずだ、との考えからだ。
「精神的に強い、ドライビング技術の高い2人を選んだ」
その育成プログラムに2人の若手ドライバーが選ばれた。新井大輝・21歳と、勝田貴元・22歳である。
トヨタは今回、より広い層から若き才能を発掘するため、カテゴリーを問わずJAF公認競技に参戦経験のある26歳以下の若手ドライバーを対象に、あえて“公募”に踏み切った。その応募者71名の中からフィンランドでの2次選考に残ったのが4名。
五輪アスリートも使用する施設でフィジカル・メンタル両面からの厳しいチェックと、ラリークロストラックと林道でのドライビング・テストが行なわれ、上記2名が選ばれたのだ(選考会の動画は、http://gazooracing.com/pages/gallery/movie/index.html?vid=#pvp3__Oegf0/0/auto)。
選考に携わった、'96年から'99年にかけて4年連続WRC覇者のトミ・マキネンは、「精神的に強い、ドライビング技術の高い2人を選んだ」と言う。