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なぜトヨタはラリーを選んだのか。
その期待を担う2人の若きドライバー。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byKiichi Matsumoto
posted2015/06/04 18:00
会見での新井大輝(左)と、勝田貴元。今後ふたりはフィンランドでトレーニングを受ける予定で、その後フィンランドやポーランドの国内選手権にスポット参戦するという計画もある。
軽トラックで山を走り回っていた新井。
一方の新井は、免許を取得してから乗っていたのが軽トラックだったという。
「運転が好きで、ずっと山をドライブしたりして。友達に勧められて群馬の地区戦に出たんです。ひとりで走っていると、どのくらいのレベルなのかわかりませんが、他の人と一緒に走ることによって、自分がどこにいるのかわかって、本当に楽しい競技だなあって。ラリーのコ・ドライバーとの関係は、野球で言えばバッテリーみたいなもの。お互いに命を預けていることもあって、家族以上の関係なんです。そこに惹かれたってこともありますね」
勝田より1学年下の新井だが、ラリー経験では一歩先をいく。一昨年にデビューし、昨年は全日本ラリー選手権に加えて、オーストリアの国内ラリー選手権にも2戦出場している。
新井「ラリーに対する考え方を変えないといけない」
「日本とまったく違うのは平均速度。だいたい120kmくらい出ているので、日本なら60m先を見ていればコーナーに対応できるのに、300~400m先を見ていないと体がコーナーに反応できないんです。国内なら反射神経だけでどうにかなる面が大きいのですが、海外だと、自分が気づいた時にはコースから外れて、車が何回転もしてしまうような状況でした。ラリーに対する考え方を変えないといけないと強く感じました」
スタートを切ったばかりの2人だが、ドライバーとしての最終目標はもちろん、WRCに出場してチャンピオンになることだ。2017年のトヨタ参戦に間に合うかは、彼ら次第。王者・マキネンに加えて、WRC通算15勝のミッコ・ヒルボネンの指導のもと、彼らの挑戦は、まだ始まったばかりだ。