モーターサイクル・レース・ダイアリーズBACK NUMBER
7戦ぶりの勝利は、完全復活なのか。
元王者・ロレンソの天敵は「雨」。
posted2015/05/09 10:40

母国スペインGPの表彰台の頂点で、久しぶりの勝利の大ジャンプ。その高さは衰えを感じさせないものだったが……。
text by

遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
カタールGPからアメリカズGP、さらにアルゼンチンGPと続いた大陸移動の3戦を終えて、MotoGPはヨーロッパへと舞台を移した。
その最初のレースとなった第4戦スペインGPで、開幕から3戦表彰台に立てなかったJ・ロレンソが、ポール・トゥ・ウインを達成した。
PPは昨年のサンマリノGP以来、9戦ぶり。優勝は日本GP以来、7戦ぶりのことだった。
ADVERTISEMENT
連日30℃を超える猛暑という厳しいコンディションの中、予選ではM・マルケスが持つ1分38秒120のサーキットベストラップをブレイクする1分37秒910をマークし、決勝ではレコードラップを塗りかえた。
決勝当日は26℃とやや気温が下がったが、優勝タイムでも初の44分台となる素晴らしい記録だった。
予選でPPを獲得したとき、ロレンソは「多くの人にアイツは終わった。落ちぶれたと言われたが、そんな評価を覆すことが出来た」と胸を張った。
そして決勝では、ただひとり追撃してきたマルケスを寄せ付けず、さらにチームメイトで総合首位のV・ロッシにも大量リードを築いて独走でゴールした。
「終わった」と思っているだけに、ドキリとした。
快勝の要因はなんだったのか。
「ブレーキングが良くなった。ギリギリまでブレーキングを遅らせられたし、コーナーへの進入もスムーズでコーナーリングでもスピードを乗せられた」
コメントは彼の走りの特徴そのもの。まさしくロレンソのストロングポイントが生きたレースだった。
正直、僕も「ロレンソはもう終わった」と思っているひとりなだけに、予選終了後のコメントにはドキリとした。
あれだけハッキリいうのだから、スペインはもちろんのこと、ヨーロッパでは相当辛辣な評価を受けていたのだろう。そんな悔しさを晴らすレースになったのだろうと思う。