セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
レアルが困惑した「予想外の展開」。
ユーベは王者に何を仕掛けたのか。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/05/08 10:50
セリエAでの優勝を既に決め、CLに全力を注ぐユベントスがホームでレアル・マドリーを退けた。リーグで得点王を走り、CLでも7ゴールを決めている絶好調のテベスがこの日も大仕事をやってのけた。
ファイナルへ行くのは、勇気を持つチーム。
一方、重たい表情でマイクに向かったアンチェロッティは、明らかに苛立っていた。
「我々は攻撃的に試合を進めたが、同点とした後、ユーベはゴール前を締めてきた。彼らのプレスが激しかったせいで、うちにはいつもより多くのミスが出た」
もはや今のユーベは、昨年レアルが大会のグループリーグで対戦し、1勝1分で下したときのチームとは別物に成長している。自らのチームにどこか腰の引けた部分を見てとったのか、名将アンチェロッティは早口でまくしたてた。
「2戦目には、忍耐強さが必要だ」
試合終了直後、ベテラン司令塔のMFピルロは、滴る汗と弾む声で力強く言い放った。
「俺たちはファイナルへ行きたいんだ。マドリードでも集中して、同じゲームをやってみせる。決勝へ行けると確信している」
むき出しになった野心は、挑戦者ユベントスのモチベーションがピークに達していることを示している。もちろん、手負いとなったレアルの反攻は警戒すべきで、12年前の対戦でユーベが実現してみせたように、2戦目のホームチームが逆転で勝ち抜くシナリオも十分ありうる。
ユーベが逃げ切るか、レアルが巻き返すか。
ファイナルへ行くのは、ベルナベウでの2戦目により勇気をもって挑むチームだ。