ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
「英樹のゴルフはマスターズ向き」
丸山茂樹が指摘するパターと傾斜。
text by

桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byAFLO
posted2015/04/08 10:40

休養十分でマスターズにやってくる松山英樹。今季は好調を維持し世界ランクも17位。世界的にも、十分にグリーンジャケットに手が届く選手として認識されているのだ。
「英樹のスタッツを見ると、パターだけが悪い」
しかし、オーガスタナショナルGCがアイアンだけで攻略できるほど容易いはずがない。丸山が「一番の懸念材料」として挙げたのが、グリーン上での戦いだ。「英樹のスタッツを見ると、パターだけが悪い。そこを気にして見ているんだけど、少しでも良くなるといい。(1ラウンド)平均が28パット前後になれば……。30パット近いと、いくらショットが良くても、なかなか成績が出ない」
1年前。キャリアで3度目、プロ転向してから初めて臨んだマスターズで、松山は予選落ちを喫した。初日のスコアは80ストローク。そのうち39打がパッティングだった。
「そういうことがオーガスタって起こり得る。わけのわからないグリーンだから。オレも最初の時、2ラウンドで12回も3パットしたんだ」
オーガスタの異常な傾斜が生む「錯覚」。
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1997年に日本ツアーで年間4勝を挙げた丸山は、翌年の春、初めてマスターズに出場。日没サスペンデッドとなった初日は上位で終えたが、2日目に第1ラウンドの残りを戦った後、第2ラウンドで80を叩いた。
「グリーンのスピードだけで言えば、PGAツアーでも同じくらい速いコースがないわけではない。ただ異常な傾斜があって、ホントに錯覚しちゃう。1mくらいのパットでもどっちに切れるか分からなくなってしまう。さらにひとつ外すとわけが分からなくなって、不安になる」
グリーンスピード、スティンプメーターで14フィート以上という数字は、米ツアーでいえば必ずしも珍しいものではない。むしろオーガスタの“ガラスのグリーン”を作り出す正体は、幾重の段差が作り出す激しいうねりである。
ジョージア州の片田舎に、突如現れる緑の楽園。オーガスタナショナルは各ホールが美しい松の木々でセパレートされながらも、周囲に高い建築物がなく、無機質な目標物が見当たらない。一切の無駄と、現実世界との出入り口を覆い隠した、広大なテーマパークのようである。意図的に作り出された自然の造形美によって、異空間に誘い込まれ、いつの間にか方向感覚を失うことがあるのは、プレーヤーだけではない。