Number ExBACK NUMBER
川口能活と楢崎正剛が語った、
日本一シュートのうまい選手とは?
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/03/25 10:45
川口はこの8月に、楢崎は来年4月に40歳を迎えるが、ともに所属クラブでは、今なお正GKとして君臨している。
ふたりの口から語られた名前とは?
川口 僕はヒデ(中田英寿)です。試合前のウォーミングアップ中に打つシュート。インステップでの強烈な一発で、“タイガーショット”みたいな(笑)。
楢崎 パンチ力がすごかったよね。
川口 あのパンチ力は、日本人の中では一番だったかな。練習の中でのシュートもすごかったけど、ウォーミングアップ中の、アドレナリンを出す段階で打つシュートは、もっとすごかったですからね。
楢崎 俺は、シュン(中村俊輔)のFKかな。スピードも、正確性も、駆け引きも。
川口 駆け引きはうまかったね。俊輔のボールは、マリノスで何千本も受けてきて、癖も見てきたから、何となくどこを狙っているかわかる部分もあったんです。でも、敵になってみると「こいつ、こんなにいやらしいんだな」ってわかった。
楢崎 日本人のキッカーでは一番だろうね。
「2人で頑張ってきて本当によかったな」
川口 あとはヤット(遠藤保仁)。ボールが重いんですよ。GKにとっては重いけど、味方にとっては合わせやすいようなボール。俊輔とヤットのFKは別格かな。
守護神と守護神。もしも2人の年齢が離れていて、どちらかがもっと後に生まれていれば、日本代表はこの先も正GK選びに迷わなかったかもしれない。でも、これだけレベルの高い選手が競い合ったからこそ、日本のGKのレベルは引き上げられたのではないか。2人のライバル関係は、日本サッカー界にとって「幸福な関係」だったのではないか。
楢崎 そう思ってもらえるのならば、うれしいですね。
川口 今、そういうふうに言ってもらえるのならば、2人で頑張ってきた甲斐があった。当然、これまでのサッカー人生では、良いときもあれば、我慢しないといけないときもありました。それは僕らにしか分からない心情だったから。それを今、評価というか、そういうふうに言ってもらえるのならば、2人で頑張ってきて本当によかったなって。すごくありがたいです。
楢崎 うん。ありがたいですね。
日本を代表する守護神ふたりが語る、至高のGK哲学。
もしお互いがいなかったら、自分のサッカー人生は変わっていた?
その答えに込められた、ふたりがここまで歩んできた理由とは。
本編『守護神の矜持』は、Number874号でお読みください。