スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
新コミッショナーと妙な提言。
~MLBが極端な守備シフトを禁止?~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2015/02/21 10:35
バド・セリグに代わってコミッショナーに就任したロブ・マンフレッド。弁護士出身で1980年代後半からMLBに携わり、98年に副会長に。労使協定や薬物問題に取り組み、昨年9月からCOOを務めていた。
球場の2階席からシフトを俯瞰するのはけっこう楽しい。
だがウィリアムズは、バントも流し打ちも潔しとしなかった。敢然と引っ張り打法をつづけた彼は、その年も3割4分2厘、38本塁打の成績を残している。このあたりが、近年のオルティースやデイヴィスとは一枚も二枚も役者がちがうところだ。
とまあそんなわけで、私はシフト禁止という提案をちょっと大人げないと感じている。シフトとはそもそも、打者の特殊な癖に対するリアクションなのだ。引っ張って網にかかるというなら、広角打法をマスターするか、網をはるかに超える長打力を身につけるかすればよいではないか。
それともうひとつ、球場の2階席や3階席からシフトを俯瞰するのはけっこう楽しい。あまりに極端な隊形だと笑い出してしまうことさえある。野球と奇想はもともと相性がよいのだから、それを禁じ手にしてしまうのは野暮というものだろう。どうしても打高投低を導入したければ、方法はほかにも転がっていると思う。