サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
アジア杯GL3戦無失点は史上初!
“防波堤”長谷部誠は役者が違う。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/01/21 11:45
アンカーという守備の負担が重いポジションでありながら、攻撃にも効果的に参加する長谷部誠。彼もまた、キャプテンである前に、やはり一人のサッカー選手なのだ。
アギーレ「この大会はいいディフェンスができている」
守備における上積み。
チャレンジ&カバーもよりスムーズになってきた。前回のイラク戦では自陣でのファウルでFKの機会を与えることが少なくなかったが、このあたりも改善されていた。
長谷部は続けて言う。
「後ろは1人余らせる(守り方)というか、4対3、3対2と数的優位をつくることは(チームで)話している。1人がチャレンジしても後ろがカバーしているということで、そのチャレンジする選手もしっかり激しくいけると思う。あそこで激しくいかないで前を向かれたりすると、危険になったりしますから」
シュート自体も危険なエリアで打たせていない。クリーンシートに成るべくして成ったゲームであった。
「この大会はいいディフェンスができている。ディフェンダーだけでなく、チーム全体として。勝ったことも重要だが、無失点だったことも重要だ」と、ハビエル・アギーレ監督も試合後の会見で上機嫌で無失点の意義を強調している。
不動のキャプテンが、アンカーの新境地を開く。
準々決勝はグループC2位のUAEとシドニーで対戦する。中3日あるUAEに対し、日本は中2日。指揮官はグループリーグ3試合すべて先発を固定しただけに、選手たちの疲労度も気になるところではある。
グループリーグ突破で一息つく雰囲気はチームにない。長谷部は気を引き締め直すようにこう言っている。
「(グループリーグでは)多くのチャンスをつくったし、後ろも3試合ゼロで抑えていますから、そういう意味では多少余裕のあるグループリーグだったかなという感想はあります。でもこれからがいよいよ本当の戦いじゃないですけど、相手も強くなってくる。チャンスの割にゴールが少ないというのがあるので、後ろがゼロで抑えられている分、攻撃での決定力というのを(チームで)もう少し上げていきたいかなと思います」
強く激しく、冷静に立ちはだかるだけでなく、相手の勢いをのみこみ、押し返してしまうだけの力がある防波堤。
31歳になったばかりの不動のキャプテンが、アンカーとして新境地を開きつつある。