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岡崎がパレスチナ戦後に語った真意。
「個人がもっと我を出していかないと」

posted2015/01/20 16:30

 
岡崎がパレスチナ戦後に語った真意。「個人がもっと我を出していかないと」<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

「ミムラユウスケのブンデス日本人戦記」、配信は毎週金曜日の予定です。

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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ブンデスリーガで戦う日本人選手の最新事情が満載の
メルマガ「ミムラユウスケのブンデス日本人戦記」。
最新号の中身をちょっとだけ……特別にご紹介いたします!

 【1】~アジア杯/日本vs.パレスチナ、試合後MIXゾーンの声(1)~
      酒井高徳「大会で目立ちたい気持ちはあるけれど……」

 【2】~アジア杯/日本vs.パレスチナ、試合後MIXゾーンの声(2)~
      清武弘嗣「久々にサッカーを考えながらやったなぁという感じ」

 【3】~アジア杯/日本vs.パレスチナ、一夜明けての声~
      岡崎慎司が大いに語った、現状の代表が目指す地点。

 【4】~アジア杯/日本vs.イラク、前日の声~
      香川真司「自分たちが優位に立って試合を運びたいです」

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 【2】~アジア杯/日本vs.パレスチナ、一夜明けての声~
      岡崎慎司が大いに語った、現状の代表が目指す地点。

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 1月13日、パレスチナ戦試合翌日のこともお伝えしよう。

 岡崎慎司は、この日も多くの記者に囲まれていた。その中で岡崎は丁寧に取材に答えていったが、その一部を曲解されて、報道されていた。今回は、この日の取材の受け答えを可能な限りそのまま掲載する。

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――ゴールへのこだわりが強く持てているのはなぜですか?

「海外だと当たり前だけど、そういうのをずっと子どものころから持ち続けていたから。そういうのを持続させているというのは良いことだと思うんです」

――昨日の試合でもポストプレーの際などには、かなり余裕を持って相手のディフェンダーを背中でブロックしてプレーできていたように見えましたが?

「比較的、相手も(プレッシャーをかけるのが)遅れてきていたので。(もしも)もっと後ろからガツガツ来ていたら、わからなかったですけど。とりあえず遅れてきていたので、まずはボールに触れれば自分の方が有利だなという感じでしたね。ただ、相手のレベルが上がってくると、どうなってくるかという感じだし。それでも、肉弾戦とかでも大丈夫だと思う。ただ、その辺にこだわりすぎて、裏(のスペースを狙う選択肢)がなくなるとダメだと思うので、状況に応じて色々変えられるようにはしていきたいですね」

――後半に入って、全体的に攻撃がうまくいかなかった理由はどこにあると思いますか?

「もちろん、バランスとかも考えないといけないと思うんですけど、ああいう展開になったときに、ちょっとバタバタしている感じはあったと思うんです。バタバタというか、焦って攻めに行っている感じが。でも今、変わろうとしている部分があるから、(変わろうとするがゆえに)とにかく、前に、前に行こうとしている気持ちがそういうふうに焦りにつながったのかもしれない。でも、それを続けることによって“どこかでバランスを見なきゃいけない”と思うヤツが出てくるかもしれないし。そういう意味では色々な反省は出たと思う。

 ただ、積極的にいけたことはポジティブだと思う。(パレスチナ戦では)クロスは確かにニアで引っかかっていたけど、こぼれ球を目指して1人が入っていれば、そいつがフリーでシュートを打てるようなチャンスが何回もあったと思う。こぼれ球のところに(日本の選手が)いないから相手に拾われて、(攻撃が)単発で終わってしまうことが多かったと思うんですよ。そういう意味で、みんなはクロスの意識も増えて、クロスを上げようと(考えるように)なって、それで中で待つことが多くなって……。そうなったら、もちろん、迫力は出ると思うんです。

 ただ、(先日の試合では)バランス的には悪かったなという感じがあるので。じっくり我慢してつなぎながら攻めるにしても、まだまだ若い面(*未熟な部分)が出ていると思うんですけど。もちろん、メンバー的には若くないんですけどね……。そういう意味では、何か変えようとしている必死さみたいなものがみんな出ていたと思うんですよ。たぶん、自分が出て、(ボールを)持ったときには迫力を出そうという気持ちがあったぶん、結局、ああいうふうな落ち着きのない試合になったと思うんですけど。

 4-0で勝っているのに、『もっと簡単に攻められるだろう』と見ている人は思うだろうけど、自分たちが緊張感を持ってやれているから、単調というか(そのように見られてしまっても)、今はそれでいいのかなと。こうやって何回も続けることによって、落ち着いてやらないといけないと思うときも出るだろうし。もちろん、そういうタイプが一斉に出て、というのはあると思うんですけど。例えば、ヤットさんが交代して、キヨもあそこのポジションは初めてだと思うし。そういう意味では、それはやっていかないとわからない。

 ただ、個人的にはネガティブには思っていなくて。ああいうのも、何回もチャレンジして……。ああいう気持ちがないと、結局、迫力なんて出ないと思うので。まずはそこからチャレンジして、どこかで誰かがバランスを見なきゃとか。真司とか、キヨとか同じポジションでかぶっているんだったら、どっちかが引いて……という考えが出るかもしれないし。やっぱり、試行錯誤かなというか。もちろん、これが(相手の)ランクが上がっていけば、迫力がないと絶対に点が入らないので、そういう意味では、今のチームの気持ちというか、意気込みは試合に表れていたのかなと。みんなが、『オレがやらないといけない』という。これを、みんながどういうふうに余裕を持って、やれるかというのは経験だと思うし。その辺はあると思うかもしれないですけど」

現状維持で満足していたら、絶対に足元をすくわれる。

――本田選手は6本のシュートを打っていて、岡崎選手は3本のシュートを打ったものの悔しいと話していましたが、みんながそれぞれに結果を残したいという思いがあると?

「まぁ圭佑はFKもあったからね。例えば、圭佑がFKを1本失敗したら、キヨとかが『オレが蹴りたい』というとか。そういうのが、チームとしても必要になってくると思うし。バリエーションになるというか。相手が『本田が蹴るだろう』と思っているときにキヨが蹴ったら、相手は絶対に油断していると思う。そういう自分たちの武器はいっぱいあるし。そういうのを今後は、色々とやりながら……。だから“誰かが気を使ってやれよ”とかではなくて、個人がもっと我を出していかないといけないと思う。

 それがエゴとかではなくて、チームの中でマッチした時に、初めて日本の良さが出るんかなと思っています。まだ、今は粗削りな部分が色々とあるので。それはパレスチナ戦でも出たと思う。そういう意味では、成長しながら戦っていければ自分たちが優勝できるチャンスはかなりあると思う。元々の評価は高いし、優勝できるチャンスはいっぱいあると思うけど、やっぱり成長しないと、上手く守られて……。

 例えば、フィジカルがオレらよりも強い相手はいっぱいいるので。イランとかイラクとか、オーストラリアは自分たちよりもフィジカルが強いと思うし。そういう相手に、どれだけ自分たちがバリエーションとか……それこそ南米(のようなサッカーをまねるというわけ)じゃないけど、ちょっとだましたりとか。そういうプレーが必要になってくると思うので。そういう部分はやりながら磨いていかないといけないかなと」

――この大会が始まる前には岡崎選手はたびたび「成長しないといけない」と口にしていますが、そういう想いが自分の中では強いということですか?

「そうっすね。個人的にも成長だし、チームの成熟度は、大会を通じて成長していくしかないと僕は思う。もちろん親善試合とかは、個人のアピールの方が強いかなと思うんですよ。チームを作っていくうえでは、大会で強くなっていくことが絶対に不可欠だというか。例えば、大会で接戦を戦ったチームは優勝したりもするし。そういう意味では今後も、接戦になりかねない試合がいっぱいあると思うので。そういう試合を自分たちがどういう気持ちで戦うのかというが大事になってくる。そういう試合を経験したことによって、成長して、優勝にたどりつくのかなと思うので。

 本当に、現状維持で満足したままずっと毎試合戦っていたら、絶対に足元をすくわれると思う。そういう意味では、もちろん、自分も成長し続けたいというのはあるけど、チームが強くするためにはやっぱり、大会(で勝ち続けること)かな。本番、本番しかないと思うので。その数も少ないと思うんですよ、自分たちは。EUROみたいに、そんなに試合がないし。予選もアジアだし。そういう意味では、まぁ、こういう本当にトーナメントになってくればそうだし。今も、イラクに勝てなかったら厳しい試合になって来るので。ここからが本当の勝負になってくるかなと思います」

――アギーレさんからモチベーションを上げられるような声を試合前にかけられたと明かしていましたが、それは何故ですか?

「ヨーロッパのスタンスと同じだと思うんですけど、ミスした選手には厳しく言うというか。そういう部分で、なんかこう……なんていうか、感情を表に出すことが上手いんですかね。上手いというか、それが普通だと思うんですけど、中南米だと。それに自分たちも乗っかることが出来るというか。例えば、厳しく言ったとしても、それは冷たい厳しさじゃなくて、『もっと良い(リアクション)来いよ!』みたいに言っているような気がするので。その辺はたぶん、理論とかじゃなくて、単純に南米の人と、日本人は呼吸がよく合うじゃないですか? そういうのだと思うんですけど」

このほかにも、酒井高徳、清武弘嗣、香川真司の声を紹介。
続きは、メルマガNumber「ミムラユウスケのブンデス日本人戦記」で ぜひお読みください。
岡崎慎司

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