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香川真司はゴールを決めずともいい!?
インサイドハーフとしての覚醒の兆し。
posted2015/01/19 11:40
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
Takuya Sugiyama
オーストラリアの地で、香川真司は連日同じような言葉を口にしている。
「得点という結果を残さないと、意味がない」
現在、日本代表はアジアカップ・グループリーグ2試合を終えて2連勝。初戦のパレスチナ戦で香川は2アシストを記録したが、続くイラク戦では再三好機は訪れたもののゴールを決めることができなかった。
「あとは決めるかどうか。そこがとても大きな問題だと思う」
イラク戦後に香川が自らに課したテーマも、やはりゴールだった。
昨年夏、香川は古巣のドイツ・ドルトムントに復帰した。マンチェスター・ユナイテッドで味わった悔しさを胸に、再起をかけて臨んだブンデスリーガ。しかし12月のウインターブレイクに入るまでの数カ月間、チームは下位に沈み、自身も思い描いた復活劇を遂げられないでいる。
そうした香川の沈黙は、代表に合流してもなお続く。ドイツでもう一度輝くキッカケを作るためにも、代表で早くゴールが欲しい。最近では香川についての報道は、そんな期待を込めた記事が各紙面に踊るのが常だった。
ザックジャパンの香川は、アタッカーだった。
アギーレジャパンには、昨年10月から招集されている。そこで、香川のポジションに変化が見られた。
ザックジャパン時代は左のアタッカーとして、サイドを起点にそこから中央へと切り込み、ゴールやアシストを狙うというプレーが求められていた。コンビネーションやドリブルで突破を図る。どちらかと言えば、ボールの受け手となる役割でもあった。
システム上は「4-2-3-1」の「3」の左サイドMFとして括られていたが、アルベルト・ザッケローニ監督が「両サイドの選手はFWという概念」と発言していたことからも、与えられていた役割が攻撃に特化していたことが理解できる。